<5>市場経済下の価格メカニズム
新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉  投稿日 7/21(日) 15:53:03  返信も含め全削除
1.お客様は「神様だ」というビジネス文化がいつまで続く
 日本のビジネス文化の中に「お客様は神様・王様です」と言う表現がある。この言葉は日本の商人にとって昔から重要な教訓として長く受け継がれてきたし、今後も言い続けられるであろう。この時代の価格設定は下記の算式によって売値が決定されていた。
        仕入\1,000+利益\500=売値\1,500
 仕入原価\1,000に自分が期待する利益\500を加算して売値\1,500を設定する価格決定方式である。この積算方式の価格体系では、お客が\500も儲けさせてくれるのであり、有り難い取引相手であるとして、お客様は「神様だ」「王様だ」という表現になって現われたのである。建設業界が用いる実行予算制度も、この積算思想による積上方式による原価計算手法を用いている。実際に発生する原価を予想して費用を積み上げる計算方式が採用されている。

2.神様説が通用しない新時代の市場論理
 近代のビジネス界ではこの言葉は使えなくなってきた。何故だろうか。近年のグローバル化した時代の市場経済は、世界市場が一体化した世界巨大市場が出現し、益々規制緩和を前提とした世界ビジネス文化の混在化したグローバル市場環境が整い、上記のごとく自社企業の都合による積算方式の原価計算が世の中で通用しなくなったのである。自社企業の都合で出来上がった原価を取引相手に押し付ける時代は終わったのである。品質や量等を前提にして価格が先に市場が決定して生産者に要求してくる時代になったのである。
 客が要求する品質・量のものを客が要求する価格で提供するのであるから、提供者と客の関係は全く対等となったのである。お客様を「神様だ」「王様だ」と言う概念は消えてしまったのである。このような視点から市場経済を観察すると、お客様は「神様だ」「王様だ」と言っていた時代は、かえって甘い時代であったのである。これから本格化する市場経済の環境は、従来の日本のビジネス文化にはない、新しく超ドライで冷酷なビジネス文化の時代になってきたことを忘れてはならないのである。

3.サッカー場型市場経済下の原価管理
 品質・量・価格が先行して市場が決定する時代に従来型の甘い原価管理が通用しない時代を向かえたのであり、最も甘い管理の実行予算制度を廃棄処分にしなければならない。従来型の積上方式から下記のように原価管理の思想による計算方式に切替えなければならない。
        売値\1,200−利益\200=原価\1,000
 品質・量を前提として売値\1,200が市場において先行して確定するから、生産物提供側は企業継続のための最低限の利益\200を確保しなければならない。そのためには、生産原価が\1,000以下で生産されなければならない。このため従来型の実行予算方式から新しい思想のもとにできた原価縮減誘導技術を持たなければならないのである。市場経済は完全なものではなく多くの欠点を抱えているが、今のところこれに代わるものがない。一時的或いは局部的にダンピングや不公正な取引が横行することも事実だし、今後も発生するであろうが、市場の環境も「サッカー場型」に進化しており、多くの観客の前は透明であり、不公平や不公正な取引は観客が許さない。しかも今の観客(国民)は鋭く1人ひとりを監視しているのである。「サッカー場型市場経済」の新しいビジネス環境を計算に入れた企業経営でなければ、これからの社会には通用しないであろう。後戻りすることはもう考えられないのである。(阿座上洋吉)

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