<6>原価計算は危険な道具(その1)
新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉  投稿日 8/11(日) 21:03:26  返信も含め全削除
1.原価計算の危険な側面を確認する
 原価計算は魔物と言われるほど厄介な側面を持っている。原価計算を熟知してないひとは、正しい原価は一つであると思っているが、実はそうではないのである。担当者がどのような考え方で原価計算をするか、あるいは何の目的で原価計算するかによって、原価の金額が大きく変化するのである。その変化の実態はカメレオンのごとく変貌するのである。更に原価計算には多くの計算手法に選択肢があり、その選択によって原価の金額に大きく影響を与えるのである。更に原価計算担当者の知識レベルによっても影響するし、その影響は想像以上のものである。このように原価計算は無数といえるほど変化する要因を抱えているのである。詳しくは後述するが原価計算を安易に考えてはいけないのである。しかし、建設業界の関係者は原価計算が単純に計算できるものと勘違いしており、実行予算の原価についても単純に原価を予定できるものではないのである。慎重な検討をした上でなければ原価管理の道具として使えないのである。したがって、どんぶりの器の大きさ(u等)を決めて、どんぶり一杯分の単価(基準単価)に何杯分を乗じて原価を計算する実行予算制度では、到底実践に耐え得る原価計算ではないことを肝に命じて置くべきである。原価計算の勉強に入るに当り前置きが長くなるのは、前述のように概念の間違いや危険な考え方を回避するためである。

2.原価計算という道具の課題は固定費に集中する
 上述のように多くの危険をはらんでいる原価は、固定費について集中的に発生する。固定費とは生産行為(施工行為)に関係なく発生する費用を言うのであるから、固定費が原価計算にとって永遠の悩みであり課題であると言われている。例えば、作業員を雇用する場合にその雇用形態が大きく影響する。社員として通年雇用すれば、この人件費は固定費となるため、現場の作業の有無に関係なく人件費が発生する。現場が休業状態であっても固定的に発生する費用であるから固定費と言っている。現場作業が休業状態で発生する人件費を原価計算上どのように処理すべきでか。この時点でも考え方やその処理を間違うと、決して適切な原価計算にはならないのである。次に、作業員を仕事のある時だけ出来高払いで雇い入れた場合は、施工の進捗度(進んだ程度)に比例して人件費が発生する。このような生産高に比例して発生する費用を比例費あるいは変動費という。このように作業員の人件費を検討しても、大きな課題があり大きく変化する。もともと原価計算はは大きな課題をたくさん抱えていることを認知しておかなければならない。一般的に現場作業員の雇用形態は、現場作業の必要時だけ下請企業へ外注することが一般的であるが、では、技術者の人件費について考えてみると、作業員と同様の現象が発生する。決して作業員だけの問題ではない。施工内容が同じ状態であるのに雇用形態や施工形態の違いによって、原価の金額に大きな影響を与えてしまうのである。したがって、建設業者が施工前に安易に計算する実行予算が、どのような根拠で計算したものであるか、また、実際の施工で発生する実際原価がどのようにして計算したものであるかを、慎重に検討しなければならない。建設業者が真剣に固定費について取り組んでいるとは思えない。このような状態で建設業の現場経営が近代化されているとは考えられない。建設業者は、現場の出来型等にばかり気を奪われているためか、重要な原価計算の近代化に気がついていないのが現状である。(阿座上洋吉)

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