<19>仮設材料費についての直接費と間接費
新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉  投稿日 11/10(日) 21:36:37  返信も含め全削除
1.現場個別費と現場共通費の違い
 現場で発生する費用を原価と言うが、その原価が現場に固有に発生する費用か、他の原価と共通に発生する費用があり、前者を現場個別費といい現場に共通に発生する費用を現場共通費という。原価計算の精度の面からは、現場個別費として発生する費用の方が簡便に把握することができるが、現場に共通に発生する費用については、何らかの配賦基準にしたがって各現場別の負担額の計算をしなければならない。そこで工事原価をまづは現場個別費と現場共通費に分類することから原価計算を始めなければならない。この分類が原価計算の第一歩となるのである。

2.仮設材の分類
 仮設材の消耗部分の原価計算については、レンタル方式とすく出し方式は、現場個別費として捉えることになる。レンタル方式は現場別に正確にレンタル料の計算することになるし、すく出し方式は、仮設材を現場へ投入した時点でその現場の材料費として現場個別費として原価集計し、現場の工事終了の時点で仮設材の残材の評価額を材料費から減算して、仮設材の消耗部分を現場の個別費として把握するのである。すくい出し方式の難点は、仮設材の残材評価が主観的であり、絶対的評価額の計算が出来ない点である。
 利用回数負担方式と損料計算方式による現場負担額の計算は、仮設材が利用状況を勘案して現場で消費される仮設材の損耗費であるから、数回にわたり利用される現場に対する現場共通費の性質を持っている。利用回数負担方式は、過去の仮設材の利用回数データがなければならないが、一旦利用回数のデータが揃えば1回分の損料費が確定し、利用の段階では単純に計算されるため、主観的判断が比較的に排除される利点を持っている。損料計算方式についても利用期間等の時間データが揃えば時間単位の損料費が確定し、配賦計算の仕方は比較的容易となるのである。損料計算方式は利用回数負担方式と同様に主観的判断の部分が排除される。

3.仮設部門費の応用形態
 仮設材を大量に所有する企業は、仮設材の管理等多くの仮設に関する業務がある場合に、仮設部門を設けて部門費計算制度を利用する方法がある。仮設材の損料計算以外の費用、仮設部門を管理する事務員や管理者の人件費、その他諸経費等を仮設部門費として集計し、これを予想利用時間等で除して時間あたりの配賦率を算定し、現場別利用データに予定配賦率を乗じて現場負担額を算出する方法である。この部門費の計算は、企業の組織としての大掛かりな方法もあるが、計算上だけの簡便な部門費計算でも可能であり、企業の規模に合わせた利用方法を用いればよい。

4.脇役の仮設材の管理も重要
 いずれの手法も本体工事ばかり目を向けていた時代から、脇役の仮設工事まで神経を使わなければならない時代になったことを留意すべきであろう。これからは脇役の仮設材についても大事に利用し少しでも利用回数や利用時間を延ばすことを工事管理によってしなければならない時代が到来したのである。

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