<8>新市場型人材がなぜ必要か
新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉  投稿日 2/2(日) 11:48:41  返信も含め全削除

1.近年、日本のビジネス文化や手法が通用しない
 前述したようにすべての文化が地球規模で急速に融合化しており、エリアレス化の波は止まりそうな気配がない。特にビジネス文化の融合化は、従来型の日本ビジネス文化や手法では機能しないのである。これは特定の業界だけの問題ではなく、すべての産業に大きな変革の衝撃を与えている。日本の従来型ビジネス文化や手法が近年まで持ち応えたことは良しとすべきである。もはや日本は従来型ビジネス文化や手法が根本から崩れ去り、全く通用しないことを覚悟しなければならない。

2.新しい市場経済型人材に変革するか
 年令で昇格し年令で昇給する日本の人事システムを、完全に能力主義に切り替えることが可能なのであろうか。数十年間続いた年令型の人事制度を支えた高度成長期が終りを告げ、地球規模の激しい能力主義の賃金制度に日本の人材は耐えうるのであろうか。能力主義は専門特化した能力をベースしており、大きな課題が山積みとなっている。教育機関の教員やインストラクター、コンサルタント等、指導的立場の人材の変革もしなければならない。この変革が急がれるのに日本人は景気が悪い、政治が悪いと言い自分のせいに思っていない。少しは影響があるにせよ大部分は日本人自身に問題があり、日本人のビジネス思想が世界の経済状況に合わなくなったことに気がついていない。

3.日本の労働市場の環境
 日本と類似点が多いとされるドイツ人は、勤務時間が短く賃金が高い状況にあるが、国のエリアの壁が高い時代は自国の人事制度が機能したが、エリアレス化すると安い労働力が流入し賃金水準は低迷しており、しかも失業率が9.3%にも達している。EU国の環境は日本より労働の流動性が高い地域であるから当然の現象である。日本の失業は平成14年で5.5%であるが、日本の特色は労働人口の流入問題ではなく、生産工場の移転現象が急速に進み本格的に産業の空洞化が進んできた。しかし結果的に産業空洞化はドイツと同様に大量の失業者が発生する仕組みには変わらない。経済交流は物流を拡大させるからこのうねりは止めることが出来ない。鎖国時代であっても「抜け荷」という密貿易がさかんであったし、国交断絶の国であっても密貿易は常に発生するのである。今日の地球規模のエリアレス化時代は、人、物、金、文化等の流動化が凄まじい勢いで拡大している。この中にあって日本の労働環境も影響を受けることは当然であり、賃金が世界トップレベルの日本の賃金制度と、働かなくなった日本の人材では世界の経済戦争に勝ち抜くことは出来ない。また日本人は専門性の低い人材であることも弱みとなってきた。いづれにしても世界の人材と競合関係にあることを忘れてはならない。

4.日本の労働環境は社会主義的
 日本の労働環境は社会主義的制度が強過ぎるのである。なぜなら東西冷戦時代の中にあって、日本は東西の中間にあって折衷型になっていたが、ロシアや中国が市場経済化した世界情勢の下では、日本は東寄りとの社会主義的労働環境であり、労働関係法や労働思想、労働環境等が市場経済に馴染みが悪い状況にあり、世界の労働市場にも対抗できない環境となっている。労働環境や労働思想の善し悪しの議論ではなく、世界経済の中で通用しない環境下にあることを心配しているのである。市場経済の厳しい労働環境を認識すべきである。

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