<8>第三の革命的変革期の社会不安
新規投稿者 地域経済研究所・阿座上洋吉  投稿日 4/6(日) 20:02:43  返信も含め全削除

<シリーズ・社会不安の材料を探る>
 このDNAシリーズは、現代社会の不安要因を整理し、新しい人間関係を摸索するための研究が狙いである。現代の社会の不安は幾つかの不安材料が重なり合って起きる現象であるが、不安材料の整理が新しい人間関係を研究するポイントとなる。

1.第一次・激変時代の不安と大衆
 日本の近代歴史の中で大きな革命的な変革期が二つ起きている。第一の変革期は明治維新による開国であったが、これは長く続いた鎖国からの決別であり、大衆は丁髷や丸髷を切り落とし洋服に着替えた時代であり、西洋文化が洪水のようになだれ込んだ時代である。日本は急速に洋風化が進み海外経験者は洋行帰りと言われ特別扱いされた時代であった。この時代の変化は世界から孤立し日本の近代化の遅れを取り戻さなければならなかった時代であり、民衆は計り知れない不安との戦いであったに違いない。しかしこの時代の変化は期待に満ちた時代であって、不安を打ち消すほどの大きな期待がパワーとなって変化したに違いない。

2.第二次・激変時代の不安と大衆
 第二の革命的激変は、第二次世界大戦の敗戦による変革である。この時代の体験者は現在も生存しており心境を知ることができるが、この時代の変化は敗戦という精神的苦痛と不安に満ちた時代であり、日本人にとっては大きな不安の試練の時代であった。日本国民は建国以来戦争に負けた経験がないのであり、想像を絶する不安に襲われ自ら命を絶ったひとまで出たのであるからその心境がうかがえる。この精神的不安の質は第一の革命的変革の時代とは大きな違いがある。更にその後の食料危機は日本人に1千万人餓死説が出たほどの悲惨な状況であった。海外からの引上者を含め日本の人口が7千万人の時代であったから、日本の人口の7分の1が餓死の危機にさらされた悲惨なものであった。この時代の不安は極限に達し国民全体がハングリー状態であった。しかしこのハングリーがパワーとなって危機をのり越えた原動力となっていたと言っても過言ではない。

3.第三次・激変時代に突入した
 第一次変革期と第二の変革期の共通点は、いずれも過去の習慣文化が中断され未知への不安にさらされ、未知への対応を余儀なくさせられたと言う共通点がある。近年の第三の革命的変革期も過去二つの変革期と同様に過去との決別である。しかし、第三の変革期の特色は、外見的に大きな変化として鮮明に見えないことである。この変化は地球規模のグローバル化による現象であり、エリアレス化現象によって引き起こされ地球規模の文化が混在化による変化である。政治的な国の単位はあるかに見えるが、経済的面や人、金、物、文化等の垣根は完全に消滅してしまった。地球規模で個人旅行や個人レベルの商流等の急増、リアルタイムな映像化情報による文化の拡散は、国の経済政策や個人生活にも大きな影響を与え、過去の地球上では見られない新しい現象となって現れてきた。地球規模のエリアレス化現象は止まる気配がない。米国で起きた同時多発テロ事件やイラク戦争、中国の新型肺炎の恐怖といったエリアレス化を阻害する要因も時には起きるが、基本的なエリアレス化の流れが進み止まりそうもない。今、人類は過去の文化からの決別を強いられ、地球規模で動揺しており当分この不安から逃れることはできないであろう。

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