<53>ISOが形式化する理由
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 2/15(日) 13:57:42  返信も含め全削除

1.書類主義の形式的ISOに馴染む日本人
 日本の建設業はISOを本当の意味を理解しているひとが少ない。そのためISOの取得自体が目的と考えているひとが多く、書類上でISOを形式的に取得してしまう結果となってしまっている。その意味で書類主義の好きな日本人にとって書類上のISO取得が馴染んでいる。なぜ日本人はこれほどまでに書類主義になるのか、それは日本人の行動文化が建前主義であることに原因がある。国会議員の秘書給与流用や従来の予算制度の予算流用は、領収書だけが支出項目に一致していればよいという書類主義が日本の文化となっていた。形式が一致することが重要であり内容に相違があっても責任は問わないというのである。このような形式主義の文化が近年まで続いていたのである。実行予算の流用なんかは当然であり流用の上手な者が能力ある人材とさえ言われるのである。書類主義のISOが横行する要因はこのような日本人の文化に起因している。

2.現場で冬眠状態のISO
 建設業界を施主側からみると材質や施工方法等に不安が多く、品質等の信頼性に不安が付きまとうため信用されにくい産業である。そこで本物で運用されるISOが必要となるのである。本物のISOを運用することによってユーザーの信頼性を確保することが重要で、営業上の戦略としても武器になるのである。公共工事についてはISOをとらないと入札不利説の噂が流れ、経営者は強い恐怖感に襲われ慌ててISOを買う気持ちになってしまうから、ISOのコンサルタント等がこの点ついてくるのである。たしかに形式的ISOであっても営業上の有利性は多少あるだろう。しかし建設業者が本物のISOも知らずに真の品質管理上のISOの効果を期待することは出来ない。建設業界は形式的なISOを採用する企業が増えてしまい名刺にISOのマークを入れることが目的となり、現場で本格的に運用する意思の希薄な企業が多いのが実情である。そのためISOに関する事務処理等が煩雑であり、担当者は形式的書類作りに懸命となり現場はかえって生産性の効率に悪影響が出たとの意見が多い。現場の運用面から見ればISOは冬眠状態である。また継続審査等に多額の費用がかかり、中小企業にはかなりの重荷になっているのが現状である。

3.本物化させるISOの利用法
 書類主義のISOに対して本物のISOとは何か、最初は単純に現場の品質を良くする為のマニュアルと思えばよい。技術者、技能者が通常施工している通常の作業内容を活字化すればよい。特に重要な点はISOの取得を意識しないで、現場で担当する技術者、技能者が通常行っている通常の作業マニュアルを作る意識ですればよい。なぜなら日本人の能力はもともと高いのだから、普通の作業行動で高品位の技量をもっている。したがって普段の作業行動を活字化したマニュアルを作ることである。これであれば現場で抵抗するひとはいない。最初は基本部分だけにして、それに肉付けしながら社内合意の段階で標準化が進み、更にマニュアルを進化させ、その進化の過程で発注者の要望を入れて一体化させる。このマニュアルを社内の運用トレーニングで馴染んでから、ISO取得の条件を如何に馴染ませるように加味することがポイントである。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.