<96>グローバル化現象と新市場主義の台頭
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 12/19(日) 12:32:21  返信も含め全削除

1.市場経済の原理は公平公正による神事
 市場経済の前提条件は、取引相手の双方が対等の立場で公平で公正に行われることを前提にしているが、取引相手双方が対等の関係で取引が行われることはかなり難しい。それは売る立場の者と買う立場の者が同格の状態で取引関係になることが難しいからである。経済の仕組みとしての需給によって生ずる立場の強弱は、市場経済の仕組みの現象であるから当然である。しかし取引は需給の強弱だけではなく、これに加えて人間の情緒的強弱が加わるからである。取引に身内や知り合い、恩義等を受けている関係者が加わると、当然取引に公平さが欠けてしまうからで、人間が感情の動物と言われる所以である。取引の原点である物々交換の市(いち)は、双方の価値が等価になって成立する行為であるから、取引は双方が対等な立場で公平、公正な状態で厳正に行われる行事である。神社のお祭りに境内を使って行われる夜店の生い立ちは、取引は公平公正な神事であるから神聖な行事として神社の境内で行われたのが始まりである。これほど取引は厳正に行われなければならないものである。

2.市場経済に新市場主義の潮流
 取引が公平公正に行われることは、一見容易に行われそうであるが、情緒的な利害関係者までが混入する市場においては、公平公正な取引は難しく不公平、不公正が多く発生する。取引のたびに情緒的貸借である恩義が発生する。その情緒的貸借である恩義のお返しとして贈り物や接待が行われる。これに対して新市場主義とは、取引ごとに恩義の貸借がゼロとなる行為であり、その行為は取引内容が双方共にビジネスとして公平公正でバランスがとれており、恩義という情緒的貸借が全く生じない行為をいう。この行為が常態化した状態を新市場主義という。したがって、毎回取引のたびに対等な取引でバランスする行為が前提となる。恩義が生ずる情緒的価値観の貸借は、人間として個人の人生観としては人間味があり重要であるが、ビジネス観としては、ドライで冷酷なぐらい公平公正でなければならない。これが新市場主義の思想であり近年は新市場主義の思想が地球規模で急速に拡大している。

3.グローバル化による新市場主義の台頭
 地球規模で一体化した市場経済では、多民族化した世界巨大市場であり、当然人種、民族等差別のない公平で公正な市場経済が要求される。新市場主義の潮流はこのようなグローバル化した世界巨大市場の要請である。かっての日本市場のシステムは、恩義の貸借を前提にした市場経済であった。接待による恩義の押付けが横行した時代があった。未だに接待ビジネスの残骸が残っているが消えることは時間の問題である。グローバル化した世界の市場は、冷酷な新市場主義で競争原理が作用しているのであり、過去の恩義の貸借で動くような甘い市場経済ではないし、前のような甘い市場経済に戻る気配は全くない。「良いものを安く」という市場経済の原理は、激しさを増すばかりで地球規模急速に拡大している。一世を風びした恩義の貸借をベースとした古いタイプの「人脈ビジネス」が市場経済から消えようとしている。

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