<101>グローバル社会の労働市場の現象
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 1/23(日) 17:53:57  返信も含め全削除


1.ワークシェアリングと市場経済
 景気の低迷が続く中でワークシェアリングが問題になった。自分の労働時間を削減して他人に分け与えようとする運動である。一見人間味があって美しいのであるが、この思想は社会主義的労働価値観が根底にある。中道左派的思想である。しかし、好き嫌いは別にして弱肉強食の市場経済型の思想ではないことは明白である。市場経済における企業家精神は、ボランテア協会の思想ではないから、上手に労働者に仕事を配分するという思想はないはずである。この点でワークシェリング運動は、市場経済には馴染まないものと考える。

2.ワークシェアリングの限界
 フランスでは社会主義的ワークシェアリングの欠陥が指摘され、労働時間の週35時間が足かせになってしまい、現在は法律改正によって実質週40時間の効果が出るように修正された。ワークシェアリングが失敗に終わったようである。エリアレス化による世界巨大市場のパワーを軽視してはいけない。世界巨大市場は過去に経験をしたことがない激しい競争環境の市場である。企業家は少しでも気を抜くと競争に負ける時代である。

3.勤勉で働き過ぎの日本人
 戦後の日本人は、世界から働き過ぎといわれた。特に日本人とドイツ人は勤勉な国民であるも称されていたが、近年の日本とドイツは共に失業者が増え、賃金の低迷も同じように悩んでいる。これは共に賃金が世界の最高位になったためであり、安い労働力のある国とエリアレス化現象が起きた結果である。国の国境が鮮明に確立されていた時代は、国内の高賃金、高物価を維持することができたが、国境の垣根が下がり自由に労働者が移動し、生産物の無国籍化が進み世界市場が一体化してしまった。これをグローバル化というが、国単位から見ればエリアレス化現象である。高賃金国の労働者が失業するのは当たり前である。政治連合となったEU圏の中は完全なエリアレスであり、高賃金のドイツ人失業者が10%を越えることもエリアレス化現象である。安い賃金の労働者には高賃金者は敵わないのである。日本の失業は5%弱であるが、これも当たり前であり景気が悪いだけではなく、安い賃金の国へ工場移転による労働環境の変化である。

4.日本の労働環境と類似のドイツ
 ドイツの労働環境は、オールドビジネスの競争力低下、工場移転等による失業者が増加しており、経済が低迷している。日本もオールドビジネスの競争力低下、工場移転等による失業者が増加しているのと同じである。日本は、多少景気が上向いてきたという話があるが、単純なものではなく、ハイテク等の世界戦略を進めているニュービジネス部門やニュービジネス企業が成果を上げているのである。これを未だに景気が悪いと言って人のせいにしているのは間違いであり、エリアレス化したことによる労働環境の変化である。これからは雇用形態も大きく変化する時代であるし、個人としても労働価値観を変えなければならない時期にきているのである。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.