<112>社会が要求するスペシャリスト
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/10(日) 16:38:06  返信も含め全削除

1.スペシャリスト時代の到来
 日本の人事に関するもので総合職と専門職という用語がある。総合職という職域は、その名が示すとおり幅広い知識と経験を武器に総合的な職域の役割を担当する職業である。これに対して専門職とは特定の専門分野の職域を担当する職業である。これに類似している人事の分類にスタッフ(情報活動等ラインの支援部門)とライン(直接的執行活動部門)という分類がある。日本の専門職という概念は、ラインとしての専門的な職種を意味している場合が多く、その職種に特化したベテランという概念に近い。そのため欧米で用いられているスペシャリストという概念とは必ずしも一致しない。これからは日本においても欧米並みのスタッフとしてのスペシャリストが要請されてきた。本部のスタッフ部門に所属する専門家で、マチャンダイザー(特定商品の企画から販売にいたる担当者)とか、コストコントローラ(コストに関するスタッフ)という職域の仕事が必要になってきたからである。

2.ラインとしての現場代理人とスタッフとしてのコストコントローラ
 現場代理人は、現場の第一線で活動するライン部門の総指揮者である。ラインとしての工事管理の専門職であるから、スタッフとしてのコストに関するスペシャリストとは役割が違うのである。現場代理人は工事の4大管理の中の原価管理も担当する役割があるが、現場代理人は決してコストに関するスペシャリストではない。現場代理人は工事現場の実戦部隊の隊長職であり、工事管理の総指揮者である。総指揮者としてみれば総合職のように見えるが、現場代理人の職務内容からして総合職ではなくラインとしての指揮者である。工期が数年間にわたる大規模な工事現場の現場代理人であれば、経営者の代理人としての役割を多少発生するが、支店長のように法律行為ができる法律上の支配人ではなく、実戦の部隊長の位置づけである。これに対してコストコントローラは作戦本部の参謀であり、コストに関する戦略を練るスタッフである。したがって従来型のピラミット型の人事組織には馴染まない職種になるかもしれない。

3.スタッフとしてのコストコントローラの組織上の地位
 コストコントローラは、本社(大規模の支店の場合も含む)におけるスタッフ部門に所属し、すべての現場のコストに関するコストマネジメントの専門家であり、コストに関する指導やアドバイザー等の役割も果たさなければならない。これはコストという切り口で担当する専門家である。そのためコストに関することであれば全ての職域に関連するため、従来型のピラミット型の組織には馴染まない。すべての職域に横断的にまたがった仕事をする専門家である。このようなコストコントローラは、新しい職種としてコストのスペシャリストであり、新たな専門職として養成する必要がある。

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