<123>日本人に個人主義が定着するか
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 7/3(日) 16:28:10  返信も含め全削除

1.日本人の文化としての集団主義
 今、地球レベルで個人主義化の波が押し寄せているが、日本人に本格的な個人主義が定着するのであろうか。日本は儒教の影響を受けながら独特の文化として集団主義を作り上げている。近年、若者の反乱という形で集団主義が多少混乱しているが、基本的に集団主義が根強く残っており、ビジネス界や企業内に大きな影響を与えている。諸外国にも集団主義はあるが日本の集団主義とは大きく相違する。欧米の集団主義はドライな契約的な集団が多く、何かの目的で集団行動が必要性な時は契約によって集団化する。日本の集団文化の特色は精神訓話的な集団化が多い。どちらが良いか悪いかの問題ではなく、欧米のドライな集団化に対して日本人の集団化はウエットである。そのためか日本の集団主義は中々抜けないのである。現代社会は若者から個人主義者が増えてきているが、これも欧米型とは少し違い情緒的な個人主義者が多い。

2.個人主義と集団主義の揺れ
 市場経済が益々進化する中で競争原理が激しく作用する時代である。市場経済の原理はドライな原理が作用する社会であり、日本人のようなウエットな集団主義の考え方や行動に合わない面がある。市場経済の原理はドライに「良いものを安く」という基準が厳しく作用する社会であるから、集団主義や日本独特の人脈主義のビジネスとは相反する場合が多い。市場経済における日本の集団主義は、個人の能力をあまり評価せず、集団全体の評価として扱われる。そのため個人能力は集団の中に埋没させて管理する手法が多い。このように個人主義の能力主義が馴染まない側面をもっている。結果的に日本は個人主義化が進み難い社会である。

3.責任主義と新しい集団主義
 責任主義は、個人主義を基準に機能するものであるが、集団主義における責任主義は、精神的結束が強い場合には強力な力を発揮するものである。特殊な宗教団体に見られる現象や戦争時に見られる集団主義の中で起きる現象はその例である。個人を犠牲にしても集団のために貢献する精神的作用である。しかし情報化社会によって集団主義が崩れ個人主義化が進む中で、間違いなく集団主義の威力が色あせてきた。今日の情報化社会では、情報不足時代のような洗脳型の集団主義は存在しないから、過去型の集団主義が存立する余地はなくなった。しかし集団が全く存在しないことはありえない。必ず集団化現象は起きるし必要な場合がある。情報化社会における集団の形態が無責任集団化してきたことが近年の特色である。これからは個人主義を基本にした責任主義を取り込んだ新しいタイプの集団主義に移行しなければならない時期にきている。

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