<134>日本的経営の反省期<その4>
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/18(日) 12:54:13  返信も含め全削除

1.自力経済の意識を徹底すること
 前にも述べたが市場経済とは、自分の裁量で自由に商売をすることを前提とした経済制度である。それを自分の商売が順調に行かなくなると、自分のせいで経営が悪化したのではないと主張する。商売がうまくいかない理由は、景気が悪いのであって自分には責任がないとか、政治の責任であるとか主張する。このような主張は市場経済を拒否しているのと同じである。市場経済は景気を簡単に動かせるものではない。その経済を動かせるという思想は社会主義の計画経済の思想であり、市場経済の思想ではないのである。自分の商売は自分の責任において行動することが前提であり、本来、他人が助けてくれるものではない。日本経済における戦中戦後の経済政策は、官主導型の制度であり、物価統制令によって生産量や価格を統制されており、社会主義の計画経済の手法を一部利用していた。そのため政府が経済を動かしているという思想があり、今日までその残骸を引きずっており、その思想の影響を受けた日本的経営の中に当時の残骸が残っている。

2.従業員側にも自力意識について転換期
 従業員側の仕事観についても、当時の思想として企業が助けてくれるものという意識が残っている。従業員側も会社から自立した仕事観を持たなければならない時代である。今までの企業は、従業員を養っているという意識があり、賃金体系にしても生活支援型の賃金制度になっていた。家族が多ければ家族に対する手当制度を用意し、遠くから通う従業員には通勤手当を支給し、北国であれば越冬手当という暖房費を支給する。その他諸々の手当制度は本人が自力で稼いだ賃金ではなく、生活支援のための援助策である。日本の経済制度が社会主義的な政治手法を利用していた時代であれば、従業員側も社会主義的支援を期待することは当然であるが、世界は本格的市場経済時代に入り、もはや社会主義的支援策が通用する時代ではない。市場経済とは、企業側、従業員側共戦闘態勢で臨むべきで、気を緩めてはいけない。市場経済とは、誰も助けてはくれないという厳しい掟があることを忘れてはいけない。

3.世界の市場経済化の競争は激しくなるばかり
 近年の市場経済化の現象がなぜ厳しい方向に動き出したのであろうか。世界の市場経済は米国型に影響を受けているという見方がある。確かに激しい競争化した市場経済のスタイルは、米国型の市場経済に非常に類似していることは事実である。しかし、これはグローバル化した地球環境の変化にその原因がある。一国の経済はその国の経済政策の影響を受けるが、地球規模に広がった市場経済化の現象は、各国の経済政策の影響を受け難くなってきた。そのため市場経済を地球レベルで観察すれば、結果的に小さな政府という環境の中でビジネスが行われるようになってきた。大きな政府という意味は社会主義的政治体制を言うのであるから、地球規模の市場経済は、各国の統制化におくことは難しく、結果的に小さな政府の環境となるのである。そのため市場は自由主義経済化が強く作用し、市場規模は拡大する中で自由な競争が激しくなる環境下で進むのである。結果として人材の個々人もその激しい競争の中で生き抜く力を持たなければならない時代である。

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