<141>現代社会に通用する再構築は可能か
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 11/20(日) 13:18:59  返信も含め全削除

1.経営分析型の判断手法が限界に来ている
 経営分析によって経営状況を判断することは重要なことであるが、近年の経営状況判断は経営分析の範囲を大きく拡大して分析することが重要になってきた。中でも人材要素の判定が重要になってきており、従来型の狭義の経営分析では十分に機能を果たせなくなってきた。狭義の経営分析である財務分析は、その企業の一時の現状分析には機能するのであるが、近年のように激変するビジネス環境の時代は、社会環境の変化に対する対応能力が重要になっており、企業盛衰のカギは人材の適否にウエイトが大きくかかっている。経営トップの思想が現代ビジネス界に通用するかどうか、トップの思想や判断が企業の堅実な成長や生き残りを左右する。以前のような経営環境の変化が緩やかな時代は、従来型の経営分析で良好と判断されていれば、当分の間安泰であると判断できたが、近年のビジネス環境は、経営分析上は良好とされていた企業が数ヵ月後には衰退企業化する場合が多く見られるようになってきた。激変に強い企業は人材が激変に強いことを現している。

2.外部要因を理由に言い訳論を主張する企業
 自社企業が衰退化してきた要因は、景気が悪いのであり、また政治や行政も悪いのであって、自社企業の経営が苦しいのは自社以外の外部要因に起因していると主張する。つまり自社は悪くないのであると訴える。更に、強力な競争相手が出現したことによって業界の秩序が乱れ混乱しているのは、政治や行政が適切な規制をしないのが原因であり、何故、政治や行政は何故適正な棲み分けをしないのかと主張する。これらの理由は、自分達は最高の努力をしているのに外部要因によって起きるのであるから、自分達のせいではないと主張する。確かにこの主張には一理があるが、この主張の根底には社会主義の計画経済の的思想が流れている。社会主義における計画経済の制度であれば、国の経済企画によって直接影響するため政治や行政の責任は重いのである。しかし今日のように社会主義の国でさえ経済制度は自由化し、政府は企業経営に口を出さず市場に任せる時代である。自由主義の市場経済は本格的な自己責任時代であり、これが世界的に広がった新市場主義の時代になったのである。

3.人材についても自己責任を軽視する言い訳論
 人事制度について能力主義が叫ばれているのに、年令主義から能力主義になかなか移行できない。能力主義とは人材の市場経済化のことであり、日本人が馴染んでいる年令主義は社会主義的人事制度である。能力主義とは自分の能力で決断し自己責任を持つ制度である。年令型の人事制度は、高度成長期に確立された成功例であったが、この時代は今日のような激しい競争環境さとは違い、かなり穏やかな競争環境であった。そのため、人材個々人が100%の能力発揮しなくとも、集団の和を重視した理念と行動で、グループ能力が70%発揮すれば十分に成功した時代であった。この時代の能力評定は個々人の評定が強く作用しないため、個々人の自己責任があまり問われない時代であった。このように日本的経営の特色は集団で能力評価を高める手法であり、個々人の能力判定が厳格に査定されない制度であった。その時代の習慣文化が今日まで引継がれており、能力主義化が叫ばれていながら日本的経営の残骸が残っており、能力主義化が進まない要因となっている。

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