<156>知的財産を企業力とするために
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 3/5(日) 13:10:03  返信も含め全削除

1.知的財産によって地道に企業力を高めるべき
 法的権利を伴わない知的財産とは、通常の業務を高度にシステム化したものが多く、その具体的な例としてはISOがある。ISOは一定水準の品質を確保するためのシステムを確立し、この品質確保のシステムを認証機関で認定してもらい公開する制度である。この制度の特色は、品質そのものの保証をしているものではなく、生産さる過程が一定水準のシステムで生産されていることを公開している点である。したがって、日に日に生産システムが進化をする仕組みが重要な点である。したがって全社員で合意され共用することで、あらゆる角度からの改善について提案され、日に日に進化することを前提にしたシステムである。したがって法的権利のある特許権や実用新案権、意匠権、商標権、著作権等の知的財産と大きく相違する点は、所有しているだけで価値を発揮するものではなく、その知的財産を利用すること自体に機能的価値があるものである。その機能を利用することで更に進化し、競合他社に負けない仕組みが出来上がり、企業力が高められる結果となるのである。

2.知的財産は成文化が重要である
 知的財産は、具体的な形体があるわけではないから、企業内で価値を認めさせることは非常に難しい。特に法的権利を伴わない知的財産はなおさらである。しかし、企業力の差異は間違いなく知的財産の質と量で決まるのであるから、その重要性を認識しなければならない。過去の日本のビジネス文化は、個人の能力に頼り企業力の評価を高めてきた。しかし、欧米では知的財産を成文化することに気付き、日本より早くにマニュアル化を研究し成果を上げていた。それはISOのような品質管理ばかりではなく、生産性の向上のための効率化をシステム化すること等、かなりの分野においてシステムが成文化されていた。日本では昔からマニュアル等の成文化された支持書で命令されることを嫌う風習があり、個人の能力に任せる文化が強く残っているため、知的財産としての形成がおくれてしまった。近年ようやく知的財産の重要性に気付き、成文化の研究が進んできたが、一歩先行した欧米には依然としてシステム化の遅れが目立っている。

3.知的財産はたたき台の精神で進化する
 日本では成文化の段階で言われる言葉に、「たたき台」という言葉が使われる。この言葉は、不確定な内容を提案する場合で、原案作成の前段階で利用されることが多い。しかし、「たたき台」という言葉には、もっと重要な意味を持っている。それはたたき台をベースにして進化させましょう。という意味をこめた言葉であり、内容を吟味し進化させることを前提とした言葉である。知的財産が財産価値を持つようになるためには、このように現状を常に進化させることを前提とした意識がなければ成功しないのである。法的権利がないにもかかわらず財産価値が認められる理由は、たたき台の精神にあり、どれだけ知的財産が進化した状態でも、現状をたたき台として進化させる点にある。たたき台として認識されていれば常に進化するため、社外に流出してもさほどの影響は受けないし、知的財産は当該企業の企業文化として進化したもので、企業文化が相違する他社では単純に定着しないものである。

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