<161>敵と味方に分かれる原理と市場経済
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/9(日) 20:36:38  返信も含め全削除

1.敵か味方かを動物行動学に学ぶ
 動物は自分の生命危機回避のため、競争相手が現われると注意深く観察し、本能的に敵であるか味方であるかを判断し瞬時に行動する。人間は頭脳を高度に進化させたため、単純な判断や行動ではなく複雑である。そのため人間の判断や行動を分析する場合は複雑で難しい。そこで人間の行動を整理する場合に、動物行動学を参考にしながら整理する方法がよく用いられる。動物行動の大部分は本能的な行動であり裏がないため容易に整理することができる。動物は相手が無害であると判断すれば、生命危機回避の行動をとる必要がないし、よほどのことがない限り無視する場合が多い。これに対して生命危機を感ずる場合は、逃げるか攻撃するかを瞬時に判断し行動する。同種類の動物である場合で生命危機を感じない相手であれば、威圧して家来にするか服従するかを選択する。人間は頭脳が発達したため他の動物とは違う行動がある。例えば我慢することが有利であると判断すれば我慢する。これは人間特有の判断基準であるが、見方を変えれば正直な行動ではない。

2.市場経済における敵と味方
 市場経済における敵という概念は、ビジネス競争の相手である。特に同業者間の競争は激しいものがある。近年のようにグローバル化した社会になると、同業者としての競争相手が世界中に広がり、地球規模の競争環境となってしまった。そのため過去の市場経済とは異なり、競争エリアも広範囲化はビジネス競争の激しさが増すばかりである。その批判として20世紀は競争拡大の時代であったが、21世紀は協調の時代であると主張する識者が増えているが、筆者はこの意見に疑問を感じている。何故なら、人類は好んで過度の競争を望むものは少ないし、ほどほどの競争が必要であると感じているものが多い。しかし現実のビジネス界はほどほどの競争で収まるものではない。グローバル化した世界市場は、多国籍化した市場となったのであり、どこの国も世界市場をコントロールすることは不可能な情況下にある。したがって各国の政治力が及ばないのが地球規模のビジネス界の現状である。そのため地球規模の敵と味方のビジネス戦争が激化する結果となってきた。

3.敵と味方の関係も地球規模に
 敵という概念に対する概念として味方という概念がある。このように味方という概念は敵の存在がなければ成立しない概念である。味方同士の結束は強烈な敵の存在が前提となる。もし共通の敵の存在がなければ味方という概念は成立しない。共通の敵が強烈であればあるほど、味方同士の意識が高まり結束も強く作用する。このように地球規模の激しい競争社会の出現は、ビジネス界から数多くの負け組みが発生する可能性が高い。負け組からは失業者が大量に発生する。現在起きているフランスの若者の雇用問題の騒ぎは、地球規模のビジネス界の競争に関係があり、我が国の実態も共通な問題を抱えている・また、中国や米国等も深刻な社会問題となっている。グローバル化した社会は、一国の問題ではなく地球規模の問題として同種の問題が同時に発生する。そのため、グローバル化した社会は、地球規模の「敵、味方論」となり、競争相手が見えない中で激しさを増すばかりで、社会不安だけが増幅する現象となって現われている。

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