<162>年功型終身雇用制に関する論議の台頭
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/16(日) 16:20:28  返信も含め全削除

1.社会不安の誘因となる激しい競争原理の批判
 近年の過度な競争原理の作用は、社会不安の一因となっており、リストラという名を借りた大人社会のイジメ現象まで引き起こしている。これが社会不安の元凶であると指摘され、大人社会の精神的不安の材料となっている。そのため大人社会の不安材料が子供社会まで伝播し、子供社会まで過激なイジメ現象として現われてきた。その意味で社会不安は過度な競争原理に起因していることは言うまでもない。現代社会は、競争原理を基軸とした能力主義に移行しており、過度な能力主義が競争社会をエスカレートさせている。その能力主義の競争原理を和らげるため、パートタイマーや契約社員等の不安定な雇用関係から、年功型の終身雇用制度を再度検討することが必要であるとし、雇用関係を安定化させるためのセーフィネットの役割を果たすのではないかとの提案である。近年急速に進んだアメリカ型の競争原理の導入は、日本の高度成長期に確立された日本的経営の特色である年功型の終身雇用制度を破壊してしまったではないかとの批判である。

2.市場経済に競争原理を導入するため小さな政府論の主張
 大きな政府による経済のコントロールから、市場のことは市場に任せるべきであるとの主張がある。そのため規制緩和が必要であり、市場にはできるだけ政治は口を出すべきではないとの主張で、政治は小さな政府でよいとする意見である。社会主義における計画経済の政治のあり方からすれば、社会主義における計画経済は大きな政府でなければ国の経済を動かすことができない。自由主義における市場経済は小さな政府で済ませるという結果になる。過去の歴史を見れば、経済と政治、更に宗教まで絡みあって、二つの対立構造が続いており、この問題は何一つ解決していない。本来この対立構造の原点は人類の幸せを求めるが故の論争であり、どちらが多くの人々の幸せに繋がるかの論争である。これは人類にとって永遠の課題である。

3.現代社会に終身雇用制や年功序列型人事が機能する余地があるか
 結論から言うと「ノー」である。世界が国別に閉鎖社会であった時代であれば、国別に年功型による終身雇用制度を作用することができるが、グローバル化社会で国別エリアの壁が解けてしまい、政治思想や経済システム、宗教等が、地球規模で混在化した時代は、人類が過去に経験したことがない。経済の仕組みは「良いものを安く」であり、政治思想や宗教とはあまり関係がない。例え政治的に規制した鎖国時代でも抜荷という密輸があった。これは非合法であっても、良いものが安ければ市場において交換が成立する。このように市場における取引は、政治的規制に関係なく良いものが安いだけでどんどん広がっていくものである。これを野放しておけば良いという意味ではなく、これは経済の根本原理である。そのため競争原理が作用する中で良いものが安く作られると、政治的思想や思惑とは関係なく冷酷な競争原理が作用する。もし特定の国が競争原理を無視した人事システムで規制すると、国の経済が弱まることは間違いないであろう。日本の高度成長期に機能した年功型の終身雇用制度は、国別エリアの壁が高く頑強な壁であったことを忘れてはならない。

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