<177>情報経済時代のビジネス変化と特色
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/7/30(日) 17:38:54  返信も含め全削除

1.貨幣経済・信用経済時代の特色の整理
 貨幣経済時代の特色は、経済規模が市場で流通する貨幣の量で決まるという特色があった。これに対して信用経済時代は、信用を供与することによって貨幣の量を超えてビジネス取引が成立する特色があり、信用経済時代は貨幣経済時代に比べて、一挙に経済規模が拡大した時代である。この信用経済時代は、信用与信という人間関係が重視されるため、人脈等の人間関係が基本になって成り立つ仕組みである。つまり信用は人的資源に関連して供与されるものであり、ビジネスの人脈が強固な関係となる特色がある。このように信用経済時代のビジネスは人脈がベースになるため、ビジネスが成立する前に人脈のネットワークの構築が先行することになり、人脈の構築に精力を使うことになる。人脈ネットワークの良し悪しは別にして、信用経済時代は人脈構築のエリア内活動が中心となるため、人間の行動範囲に限定されるという特色がある。人間の物理的行動エリアとビジネスエリアが一致していたのである。

2.近年始まった情報経済時代の基盤整備
 信用経済時代は、人間の行動エリア型であるのに対し、近年の情報経済時代の特色は、人脈の行動エリアを飛び越えてビジネスが広がる特性を持っている。これは過去に体験したことがない新しい経済環境になってきたことを現しており、ビジネスが人脈ネットワークの領域を超えて飛び交う現象は、情報機器のハイテク化により、正確に良質な情報を大量にスピィーディに受発信できるようになった。その意味で過去の人脈重視時代の情報伝達とは大きく相違するのである。人間を媒介して伝わる情報は、人間の特性である情緒的なフィルターを通して伝達されるため、どうしても元情報が加工され変質化して伝わることが多く、うわさと言う劣化した情報も多かった。更に、市場における情報化の現象の中で特筆すべき点は、劣悪な製品を市場に送り出せば、市場が劣悪製品の情報を発信し、市場がボイコットする力が強くなったことである。このように情報経済時代は、地球規模で「良い物を安く」という市場原理が本格化してきた時代でもある。

3.情報経済時代の新しい人間関係論
 情報経済時代に入り、人類が地球に現れて以来の人間関係に大きな変化が起きている。交換経済時代、貨幣経済時代及び信用経済時代と変化する中で、人類は常に濃密な人間関係のビジネス手法が基本であったが、近年の情報経済時代に入ると、過去の人脈ビジネスとは異質なビジネスの形態が現れてきた。過去の濃密な人脈関係が薄れ、ビジネス上の人間関係がドライに行われる時代になってきた。このドライなビジネス環境の中で行われる市場は、過去の情緒的で濃密な人間関係を基本とした市場環境とは区別すべきである。近年のドライな人間関係における情報ビジネスの手法は、以前の市場経済と区別して「新市場主義」と言うべきである。経済全般はについては益々ドライで冷酷なビジネスが動き出し、一方で消費者の段階では益々情緒的で濃密なサービスが求められている。市場において見知らぬ人間同士がドライに取引が成立する部分と、人間らしい情緒的なサービスを提供することが同時に求められている。

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