<178>金融時代から物融時代の経営転換の視点
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/8/6(日) 08:38:52  返信も含め全削除

1.金融中心の時代から物融新時代
 企業にとって資本が不足する場合や短期的に資金不足が生じた場合に、その不足分を金融機関からの融資によって、経営規模の拡大や経営の継続を容易にするものとして金融は重要な役割を果たしている。企業にとって資金の流れは血液の循環に例えられほど重要である。近年、この金融に大きな変化が現れてきた。いわゆるリース、レンタル等の物融システムの拡大である。物融はあらゆる分野に及び、財貨やサービス等の利用物件を直接貸借する方法である。この物融の効用は企業の財務内容を変更せずに予定の物件を利用することができる点が重要であり、財務内容を変化させずに経営規模の拡大や経営の継続が容易になる点が優れている。それはリース料という費用の発生額と、その代金の支払額が一致する点に特色がある。これに対して資金不足の状況下で利用物件を購入で取得する場合は、金融と購入の二つの行為を別々に行わなければならない。そのため金融に関する借入計画と返済計画を双方を慎重に計画しなければならないし、取得物件に関しても購入と減価償却費に関して長期的に費用の配分計算をしなければならない。これらの行為は難しいものではないが、専門的な計算手法と戦略的な考え方が経営に大きな影響を与えるもので注意しなければならない。

2.金融時代から物融新時代への転換がなぜ起きたか
 物融システムが拡大することには、社会の変化と時代背景に大きく関係しているが、下記の諸事情により物融が益々拡大しているのである。

(1)物融システム拡大の第1の理由
 金融機関が債務者に対する信用供与に限界が生じたことが上げられる。近年の設備近代化は凄まじい勢いで変化しており、企業間の競争も益々激しさを増しており、設備投資の負担が多くなってきた。そのため企業に対して大きな信用供与の要請が高まり、担保物件や保証人の信用力に当然限界がきていた。金融機関にとって与信枠を無限に供与することはできるものではなく、その限界点が近づいていた。この状況下に新しい融資機関として登場したのがリース、レンタルの物融機関である。この新しい融資機関であるリース会社は、リース物件の所有者でもあるから、リース物件が自動的に担保的効果を持つため、比較的与信が容易になるのである。また、レンタルについては、必要な利用期間だけ短期的な貸借となるため、費用の負担額も軽減され必要時だけ安易に利用することが可能となった。利用者にとってはこんな手軽で利便性の高いものはなく、飛躍的に物融システムが拡大したのである。

(2)物融拡大の第2の理由
 前述したようにリース、レンタル料共に、費用の負担額と代金の支払金額が同時に同額発生するため、金融負債の過大化を防ぎながら、経営管理が容易になる側面があるのである。金融と物件の購入を分離する場合の難点は、金融の期間と物件の利用期間にズレが生ずるため経営管理が複雑化するのである。

(3)物融拡大の第3の理由
 物融は物件の買取りに比べて多少の割高になる場合もあるが、技術革新のスピードが速い時代には、その対応にはリース、レンタルの上手な組み合わせで対応すれば、結果的に費用負担が軽減されるのである。

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