<179>物融新時代の経営管理技術の転換とは
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/8/13(日) 20:03:48  返信も含め全削除

1.年間減価償却費と年間リース料について
 近年、融資に関して大きな転換期を向えている。長期的に利用される物件については、リース制度が中心となったし、短期的に利用される物件については、レンタル制度を利用することが一般化した。何れも銀行からの借入に頼らず、リース会社やレンタル会社を利用するようになった。機械設備等の買い取りの例で整理してみると、取得した機械設備の年間の減価償却費の額と、物融の場合の年間リース料は、どちらも年間の費用発生額が固定化してしまう。つまり生産高に関係なく年間費用が確定するため、年間の減価償却費や年間のリース料を固定費として扱うのである。年間減価償却費の計算には、定額法や定率法等各種の計算法があり、固定資産税等の付帯費についても処理方法の違いから、年間減価償却費と年間リース料は必ずしも一致するものではない。

2.原価計算に大きな影響を与えるレンタル料
 短期的に利用される物件に関しては、レンタル利用が一般化してきた。物件の利用期間だけの貸与を受けるのであるから、物件の買い取りの場合や年間リース契約の場合と異なり、未使用期間の費用負担が発生しない。そのため経費節減の意識の高まりと共にレンタル利用が増えてきた。近年のレンタル制度普及に伴い、原価計算、特に原価管理については大きな意識変化が起きてきた。物件買い取りの場合や年間リース契約物件の場合は、年間減価償却費や年間リース料は、固定費であるため、生産性の意識がなかなか育成されなかったが、レンタル制度が普及するにつれて時間の管理意識が変化してきた。レンタル料の発生は利用期間の長短が影響するため、効率よい活用で利用期間の短縮という結果になり、コスト削減が時間に大きく左右されることが具体的に認識されるようになった。生産性を上げることでコスト縮減が意識されるようになり、現場関係者に分かりやすい管理手法として、時間管理の手法が活用される時代になったのである。

3.物融のもうひとつの特色
 リース手法やレンタル手法等の物融は、いずれも利用物件の所有権が物融業者に所属している。また、物件の利用した年度分のリース料は、その発生年度に支払うことになり、レンタル料についても利用期間についてのレンタル料を支払うことになるため、企業の財務的負担が大きく軽減される。と同時に費用発生額と資金の支払額が同額になるため、資金管理と損益管理が一体化する特色がある。この点で経営管理が易しくなるのである。これに対して買い取りの場合は資金と費用発生額の違いが経営管理を難しくしている。
(1)銀行取引 
銀行より30,000,000円の資金を3年の年賦払いで借り入れると、年10,000,000円の返済が3年間継続する。
(2)物件取引
30,000,000円の機械設備(耐用年数5年)を購入し、下記の償却費の計算をすると年5,400,000円の費用が5年間発生する。
<年間償却費>(取得価額30,000,000円−残存価額3,000,000)÷耐用年数5年=償却額5,400,000円
◎ 各年度の費用計上は5,400,000円であるのに、借入金返済額は10,000,000円と相違する問題がある。

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