<193>いじめに関する緊急課題
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/11/19(日) 16:47:45  返信も含め全削除

1.いじめの病理学の連載にあたり
 近年の日本社会におけるいじめの研究は緊急である。いじめについては、臨床学的研究分野と病理学的分野に分かれるが、臨床学的分野の対応策の研究は、多くの先生やカウンセラー、親によって研究されている。一方で病理学的分野の研究が遅れており、臨床学の立場の方々に十分な研究の成果の提供がされていない。そのため現場担当者が適切な対応策が取れないでいる。そこで本稿では、病理学の分野に特化して研究することにした。この研究が臨床学的対応策を担当されている関係者の方々に、少しでもお役に立つことを願い進めていきたい。

2.いじめの病理学研究のきっかけ
 いじめの病理学は、数十年前からの研究である。当時の日本は高度成長期に入り、産業界は新しい管理者像を求めて、新しい人事管理能力向上の研究が必要であった。この新しい管理者の教育の中で、重要な課題が若者研究であった。いつの時代でも管理者にとって人事管理の問題は、若者問題である。特に管理職にとって若者に対する対応の難しさは、古今東西を問わず「今の若者は」という言葉で表現されるように、世代格差の問題で悩まされる。この世代格差の研究には、若者の生い立ちや社会背景等の影響を受ける若者文化の問題である。この若者の人格形成に影響を与えた、いじめの病理学を研究せざるを得なかったのである。

3.ビジネス界が求める教育論
 高度成長期に入りビジネス界が求める新しい人材像が問題化した時代があった。当時、小中高等学校のPTAから「ビジネス界が求める新しい教育論」というテーマの講演が多く、産業界が求めている新しい視点の教育論を研究していたが、この新しい教育論の中でもいじめの病理学の研究が必要になり、いじめの病理学の研究が中心であった。特に、高度成長経済と連動していた日本的経営論が、世界のビジネス界で関心をもたれた時代であり、日本のビジネス文化の中で新しい人材像の研究が大きな問題であった。しかし、いじめ現象は子供社会だけの問題ではなく、大人社会におけるいじめも大きな社会問題である。これは人間本性から発現する問題であるから、子供から大人までを対象にしたいじめの病理学の研究が必要なのである。

4.大人社会のいじめ
 管理職の役割の中で重要な行為は、命令及び指導、指揮を適切に使い分けて仕事を進めることである。部下を成長させるためには指導力が必要であるし、集団を有機的に機能させ集団の戦力化を高めるためには、指揮力の作用が重要である。更に管理職として緊急時には、即断的行動をとらなければならない。この場合は適切な命令を下すことが重要である。しかし命令についても問題が発生する。命令は、部下に対する一方的な強い指示であるが、命令を受けた部下は反論してはいけない行為である。しかし、この命令の内容が理不尽なものであれば、いじめと同様な結果となってしまう。このように適切な命令と理不尽な命令は、紙一重の行為の状況であるから厄介である。いじめの現象は大人社会においても頻繁に起きる現象である。何故このように人間社会にいじめが蔓延するのであろうか。ここにいじめの病理学研究の重要性がある。

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