<251>管理者のための経営数値の妙味と恐ろしさ
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/2/10(日) 22:33:04  返信も含め全削除

1.数字が持つ妙味
 経営管理者に対して数字に強い人とか、数字に弱い人と言う表現があるが、その意味は、数字の計算が速いという意味ではない。数字の持つ重要な意味を理解しているかどうかの問題である。経営数字は金額で表現されることが多く、売上目標とか目標原価といった予算管理等に利用されている。このような場合の目標数値は金額で設定されるため、経営管理者は、数字に強くなければ管理者の資格がないのである。経営に関するデータはそのほとんどが金額で表示されるが、金額は数値で表示されるため絶対的真実に見えてしまうものである。したがって金額表示が持つ妙味を十分に理解していなければ、数字に強い管理者とは言えないのである。

2.数字の恐ろしい側面
@ 取得原価の概念
 取得原価とは、狭義の取得原価と広義の取得原価の概念があり、狭義の取得原価とは、買入価額や製作価額を指している。これに対して広義の取得価額とは、取得するために付随して発生する関連費用を付帯費といい、この付帯費を加えたものを広義の取得原価と呼んでいる。付帯費には荷造費、荷役費、運送保険料、運送費、仲介手数料等で、取得するまでに要した全ての費用をいう。この事例紹介では、簡略化するため狭義の買入価額によって紹介する。
A 経営数値の妙味
 材料や製品、商品、機械装置、車両運搬具、建物等の財貨を、この例ではA財貨とし1,000円で取得したとする。このA財貨20,000円で売却した場合の損益はいくらか。という問に対して、19,000円の利益であるという答えがある。この取引に社会変化の条件を加えると内容が変わってしまう。社会がインフレによって再取得価格50,000円(再取得価額とは、A財貨を新たに買入れた場合の価額)とすれば、50,000円の価値の財貨を20,000円で売却したのであるから、30,000円の損失が発生したことになる。さて、19,000の利益か30,000円の損失か、どちらが正しいのであろうか。困ったことにどちらも正しいのである。何故こんなことになるのであろうか。経営数値の妙味がここに存在する。

3.金額表示の落とし穴
 金額とは、単価と数量を乗じたものである。そのため、単価が変動しても、数量が変化しても金額には同じ様に影響する。しかし、単価が変化する事情と数量が変化する事情は全く異なるのである。単価は市場の競争関係や需給のバランスの問題である。中国の高度成長とオリンピック開催が重なり、大量の鉄鋼を消費すれば単価は高騰するし、昨今の原油の値上がりはガソリン等の単価は2倍になる。このような現象は、取引単価が変化したもので市場対策の問題である。これに対して数量が変化して金額に影響を与える事情は全く相違する。数量変化の要因は、企業内部に起因するものが多い。施工ミスや無駄に材料を消費することは、企業内部の経営管理の問題である。経営管理が数量管理になるのはそのためである。経営管理者はこれらの数値を使いこなせなければならない。

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