<254>日本的経営が消える日
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/3/2(日) 20:28:48  返信も含め全削除

1.日本的経営本的経営の姿
 日本の高度経済成長期時代には、盛んに日本的経営という言葉が使われていた。しかし近年は耳にすることがなくなってきた。日本的経営と言う思想や仕組みが消えたのであろうか。日本的経営の特色は、雇用形態が終身雇用制で、役職や仕事の内容、賃金体系が年功型になっていた。この日本的経営は、企業内が和を重視する思想であり、同じ釜の飯を食った仲ではないかという仲間意識が強い思想によって支えられていた。この日本的経営の思想は、悪くはないし今日でも日本の企業風土として引き継がれている。しかし近年の日本的経営は、高度成長期のような典型的な日本的経営の特色は薄れ、かなりの部分で変化してきた。第一の違いは、日本人自身の大きな変化に起因している。当時の日本は、集団主義の時代であり、社員旅行、社員運動会等の社外活動までが企業ぐるみで行われることが多く、仕事と個人の生活は企業中心の行動が多かった。更に家族まで巻き込んだ集団行動もあり、これが日本的経営文化の一般的な姿であった。

2.日本的経営本的経営の力
 日本的経営の力は団結力であり、家族までが一丸となって企業行動に賛同し、企業中心の生活であったから、当然、企業には強い求心力が作用していた。管理職も企業の求心力の中心となって活動しており、企業内は統率の取れた集団であり、ピラミット型の軍隊組織である人事組織は、経営管理の中心となって機能していた。この集団主義時代が終わりを告げたのは、少子化が進み一人っ子社会になるや、個人主義的な環境で育てられた若者は、集団主義に馴染まず個人主義化が進んでいった。上司は軍隊組織を使って号令によって若者を動かすことができなくなり、企業は内部からの集団主義が崩壊していったのである。年配の経営者や管理者の中には、今日でも日本的経営の良い点を取り入れ、それなりの成果を上げている企業もあるが、日本的経営の全盛期のものと比較すれば、もはや大きな違いがあり当時の面影はない。

3.グローバル化とビジネス文化
 今日のグローバル化現象は、国別に特色のあった経営文化が希薄化し、世界の共通ビジネス文化へと変貌を遂げてきた。世界が能力主義になれば、日本も能力主義の影響を受け、多少は日本的経営の特色を出しながら、能力主義の仕組みを取り入れざるを得ない状況になってきた。特に個人主義化した若者は、年齢型の人事制度を嫌うものが多く、必然的に能力主義化が進む結果となってしまった。世界のビジネス文化は、グローバル化現象が進む中で、多国籍企業が益々増えており、多国籍企業から無国籍企業へと変貌しつつあり、製品の生産についても、原料供給国、生産国、生産工員の多国籍化、知的財産権の複雑化、生産物の販売先の拡散等、製品自体も多国籍化や無国籍化が進んできた。この時代に国内中心主義が通用しなくなり、常に国際レベルで通用する考え方で対応しなければならない時代となったのである。

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