<10>実績データの記録(4)‥‥‥新型バーチャートのすすめ
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 6/23(月) 19:27:32  返信も含め全削除
(4)新型バーチャートへの変換
 建設現場の現状を考慮して、手軽に工程管理に耐えられる実績データを集めようとするならば、新型バーチャート(又は前掲のExcel入力票)の形で次のように行うことを薦める。
@工事中、施工実態を旧型バーチャート(又はExcel入力票)で記録する。
A竣工後、これを点線矢線(ダミー)で順序関係を設定して新型バーチャートに変換する。Excel入力票で記録した実績データは、バーチャートに書き直し点線矢線で順序を付けると同様の結果となる。ネットワーク工程表は、合理的な工期計算、工期短縮、山積・山崩などが可能になる。このため、バーチャートに順序を付けるとネットワーク工程表と全く同じになるため新型バーチャートの形にしたものを実績データとして保存することが良い。

(5)詳細計画が早く決まるとコストダウンに
 詳細な実績データを参考にすれば、「実情に合わせた作業順序」と「作業量に見合う日程」で工程計画ができるのは当然である。山積・山崩のシミュレーションができ、山崩の山が多少残っても早期にその山が分かれば発生コストを押さえた対応ができるものである。実績データがなければ「作業順序」と「日程」が決めにくく実情に合う詳細計画を立てるのは困難であろう。
 ある建築工事ではネットワーク形式で実績データを残しこれを参考に計画工程表を作ったという。工期は10ヶ月ほどで矢線数は四百数十本になったが数日で作れ、工事を施工したらほとんど計画通りの日程で進捗できたという。これは未経験者には見当が付かないことであろう。
 計画通りに施工が進むと現場はラクである。この担当者は、「とにかく順調で現場は快適だった」と言っていた。下請は、「お陰様で儲けさせて頂きました」と言っていた。儲けた下請は、次はもう少し安く下請契約してでも他社に取られたら損だと思うはずである。

(6)詳細計画が遅く決まるとコストアップに
 詳細な実施計画が一週間前にならないと決まらない場合はどうであろう。
 もし、下請が来週は施工はまだだろうと思い作業員を他の現場に配置した後に元請から施工の指示を受けたなら作業員の確保が大変になる。逆に来週は施工すると思い作業員を待機させていたものが延びたならこれも作業員を他の現場に回すことで大変になる。最悪なのは指示を受けて現場に行ったが作業ができない場合などである。下請会社は作業をしなくても作業員に賃金を払わねばならない。このとき元請は一式で外注契約済で原価に響かないと思い下請の痛みを感じない。このような光景は日常的に耳にしているが改善の気配はない。工程が1日遅れた場合を想定してみよう。元請は日程遅れを下請に連絡し、下請は予定の変更を行うが影響は他の現場にも及ぶ。これらを“完全”にやり遂げて±0にするのが精一杯であり、一つでも連絡ミスや調整ミスがあるとコスト増に直結する。更に、遅れた1日を取り戻すために突貫工事をするとコストアップになってしまう。儲からない下請は、次はもう少し高く下請契約せねば損だと思うはずである。

(7)実績データ収集は若手に
 実績データの収集担当は次の理由で経験の浅い技術者を担当させるべきである。
@実績データは失敗を含めてありのままの記録が必要だが経験者には抵抗がある。
A経験者には当たり前で気付かないことも記録でき、これを次の新入りに利用させたい。
B従来慣行に縛られない行動を取るだろうから、多様な結果のデータ収集が期待できる。
 経験者は、記録データを新型バーチャートに変換する時の助言など、主としてデータ収集後の支援に期待すべきであろう。

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