<12>実績データの記録(6)‥‥‥初期の実績収集
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 7/7(月) 20:10:51  返信も含め全削除
(4)作業の表現の仕方
 建設工事を施工するには材料等の搬入と作業を行う資源(機械や作業員)の投入が必要になる。施工時に日程変更が有ると材料等よりも資源の方が原価に大きな影響を及ぼす。例えば数日前に材料を搬入しても正規日程の搬入と原価の差はほとんど起きないが、資源の場合、たった1時間前でも投入すると出来高“ゼロ”だが作業を行ったと同程度の原価が発生してしまうのである。これからも分かるとおり実績データの表現は“悪さ加減が見える”ように表すように心掛けると良い。悪さとは資源の3M(ムダ・ムラ・ムリ)のことである。3Mが見えれば次期計画ではこれを防ぐためのシミュレーションを行うようになる。

(5)表現の工夫が必要な作業
 一つの作業が1日〜数日程度の作業が組み合わされ、記録や順序付けが分かりやすい工事なら単に実績をバーチャートで記録するだけで良い。しかし、工事の主作業が次のような場合は工夫が必要になる。
@毎日、時間単位の連続作業を繰り返す工事
 例えば水道工事で毎日、舗装路面切断、土留矢板打、路盤掘削、基礎砂利敷、水道管埋設、埋戻、矢板引抜という7つの作業を繰り返すとする。これを1日単位のタイムスケール上に一本のバーにまとめて表現し、又は、並行する7本の作業バーに分けて表現しても悪さ加減は見えない。作業に必要な資源は作業毎に変わるのである。このためタイムスケールを“時間”単位にすると、舗装カッター、矢板打込機、路盤掘削機…などが時間単位で記録されると共にこれを操作する作業員の動向が分かるようになり、遊び時間という“悪さ加減”が見えてくる。
A長期間、同じ作業が続く工事
 宅地造成・圃場整備事業などの面工事や道路改良・河川改修などの線工事では、作業の種類は少ないが一つの作業の作業量が多く長期化する場合がある。例えばこれらの工事の“土工事”の場合、多くは施工順序に強い先行・従属関係が無いためどこからでも着手でき、悪さ加減が見えるように表現することがかえって難しくなる。戦略的な計画を立てるには土の運搬距離の極小化、雨天や湧き水の対策、作工物施工用の運搬路の確保などだろうが、これらの悪さ加減が見えるような表現方法は簡単ではなく、工夫が必要であろう。

(6)新型バーチャートに変身
@バーチャートのままでは管理に使えない
 実績データをバーチャートで書いただけでは工程管理に使えない。施工中に作った実績バーチャート工程表に点線矢線で順序付けをすると次の計画にラクに利用(方法は後述)でき、実情に合った計画が作れるようになる。
A作業順序の設定時期
 a),竣工後に設定するのが基本
 作業順序はネットワーク工程表の機能を生かすための重要な情報である。これが正しく設定できなければ正しく工程計画を描けない。このため、工事竣工後に同僚・先輩・施工業者等の協力を得ながら間違わないように設定すべきである。しかし、最初から完璧に設定することは難しいために初期の頃は「慎重に行う」ことを目指すようにする。慎重に行うとは、作業の順序を知っている者とその順序関係を適切に表現できる者の意見を参考にしながら設定するのである。
 もし、部分的に順序設定にミスが有った場合でもこれを次の計画に利用すると、施工時点や次の実績記録時点で気が付くことが多く、是正されるものである。

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