<16>ネットワーク工程表は左寄せが特徴(2)‥‥‥山崩の限界という悪さ加減
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 8/4(月) 21:02:48  返信も含め全削除
 作業は資源(人や機械)のパワーによって進めるため、工程計画の中心データは資源データといえる。また、原価管理で注目するのもコントロール可能な資源情報なのである。この資源動向をグラフ化したものが山積でありこれを効率化に向けて平準化したものが山崩である。

3.山崩の限界という悪さ加減
@資源の山崩について
 一般的な資源山崩計画において、1).完全山崩はほとんど作れないが、2).山崩しないとコストアップを招きやすいと言う面がある。更に、山崩の実現は簡単ではない。いや資源の導入計画を作ることが難しいと言った方が良いであろう。作業を推進するのは資源であるから前出の工期短縮も資源計画と密接に関連していることも忘れてはならない。
 従来は工期全体に対するクリチカルパスを確認できない1週間程の細切れ計画を作り、その計画の完全執行を強要した。これでは全工程に亘る山崩の検討ができないためにコストダウンは狙えない。むしろ短期計画のつなぎあわせはコストアップに向かいやすいことを認識しておくべきである。つまり、クリチカルパスの未確認が大問題であると共に、作業員の手配計画に3M(ムダ・ムラ・ムリ)が生じやすくコストアップになりやすい。その上従来の細切れ計画では、3Mによる工程遅延が起こるため突貫工事というコストアップ要因を招きやすいといえる。
 できるだけ山崩した詳細計画はほとんど狂わない計画になる。狂わない計画が早めに作れると、山崩し切れない個所が点在しても余りコストアップにならずに施工できるのである。

A建築工事の山崩
 一般的な建築工事では作業数が多く、細分化されているため作業データが多くなり、施工に必要な職種の種類も多くなる。このため建築工事では、必要な大量データに比例して工程計画も複雑になる。実際の現場では、本来的なコストダウンに向けた工程計画を作ることをあきらめ、契約上の納期維持を中心とした工程計画を作っているように見える。こうして作った計画の維持のため下請と毎日工程会議を行い、遅れそうな下請を叱咤激励しているが計画維持が難しい。このような状態で建築工事は毎日、山崩の限界に直面しながら計画維持に苦労していると言える。

B土木工事の山崩
 一般的な土木工事の場合、作業員確保の問題は建築工事ほど大きく感じられないであろう。それは施工に必要な職種の種類が少なく、作業員に求められる技能レベルはさほど高くはなく、また、同一作業が長期間続くことが多く学習効果に結び付くためである。このため人員配置の不手際を感じにくくなる。極端に言うと大雑把な計画を作っておき、人員を過大に投入した場合は作業進捗が早まり過小の場合は進捗が遅れる程度の現象として捉えている。計画の変更で、他の施工業者と打ち合わせに迫られるなどということも余りない。この状況は資源の山崩が自然に行われている感がある。しかし適切な山崩ができている分けではない。良く1〜2名の作業員が浅いくぼみに入りこれを取り囲むようにして数名の作業員などが腕組みして見ている状況に出会う。この腕組みをしている間でも、コストが時間と共に上昇していることに気付いていない。

 作業工程の遅れは山崩の不手際と作業順序の設定ミスに起因することが多い。チョット管理の体験をすればこの予防方法を身に付けることができる。我々は限界が見えないと自分の責任とは感じられず問題解決への取り組みができない。限界が明確に見えると初めて解決策の模索ができるようになるのである。

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