<38>新規システムの導入ポイント(8)‥‥‥“速い処理”のキーワード、今迄と違うことをする、データで怒らない
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 1/5(月) 18:20:16  返信も含め全削除
(17)“ラクに速い処理”のキーワード
 “ラクに速い処理”をするためのキーワードは“業務の定形化”である。業務処理を定型化すると個別判断が不要になり、スピードアップできる。定型化しないと業務処理の度に各自が判断するから時間が掛かり、間違いが多発することになる。定型化でスピードアップできれば残業を無くせて給与アップにもつなげられる。今迄も定型化が必要だったが右肩上がり経済下でやるべきことをしなかっただけの話である。
 調理師は当日のネタによって調理方法を変え、自動車の組み立て作業は車種・色・仕様などで変わる。定形処理などどこにも無い。しかし同じ業務では処理に似た部分が多い。定型化には標準工程表の型見本の考え方を使う。似た部分は定型化しそれ以外は処理がラクにできるように型見本を用意する。こうすると初めに型見本を選び、残りの特有部分だけを判断して仕上げるとトータル処理が早くでき間違いは少なくできる。
 定型化の始めは幼稚で良い。定形システムは使う内に少しずつ直して進化するからである。この進化の力を信じ“速い処理”に早く着手しないと地獄の扉が迫っている。まかぬ種は生えぬ、である。

(18)今迄と違うことをする
 プロジェクトチームには今迄と違う結果を求められる。この時、もし今までと同じ行動(前例踏襲)なら同じ結果になるのは当然である。プロジェクトチームが今までと違う結果を出すには今迄と違う行動をとることを理解すべきである。
 しかし、今までと違う行動をとると同僚・上司・他部門から「今まで通りしろ!」と圧力が掛かる。プロジェクトのメンバーはこれを説得する場面を持たない。管理職にはこのような圧力を防ぎ、プロジェクト活動が束縛されずに可能性の追求ができるような環境を用意して頂きたい。

(19)データで怒らない
 今迄は計画より良ければ「○」で悪ければ「×」という評価を行い、悪いのはその結果を招いた担当者自身としてきた。しかし、計画と実績を比較するだけの“監視”では管理にはならない。第一、最善計画の明確な基準が作れないのである。
 支援システムを導入する時は失敗も含め全て実情データで記録することがポイントになる。実は失敗データが担当者の大きな支援になるのである。失敗は成功の母であり宝である。失敗は“原因究明して改善する”姿勢で臨むならオープン化できるようになり、外部からも提案やアドバイスが集まるのである。トヨタが強いのはこの点にあると言える。
 管理者は本来、失敗しないように指導すべきなのに部下が失敗すると小言を言う。失敗データで怒ると当プロジェクトの方向を狂わせる。それは怒られないデータを作るために役立たずのデータが山を築くからである。管理者は失敗データで担当者を怒るのではなく失敗回避方法を指導すべきである。

*前回「管理職は改革のキーマン」の補足
 経営革新は本来、経営者が意志決定して断行すべきである。しかし組織の下位で起案しこれを経営層が承認するという決済制度を前提とするならば管理職が改革のキーマンといえよう。その理由は、1)経営者に意見具申する立場にある。2)全社的なシステム提案は現場サイドからは不可能である。3)現状の管理者は社内の意見調整や集団統率に秀でている。4)地獄は会社関係者に大ダメージを与えるが支援システムの導入体験は(例え短くても)経営者にも現場担当者にもプラスになる、などのためである。混迷状態からの脱出を管理職諸氏の手腕に期待する。

 (私的な意見・問合せ・要望などは takatsu@chiiki-keizai.com へ)

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