<44>WBSで管理サイクルを回せるか?
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 6/13(火) 19:41:01  返信も含め全削除
1.管理サイクルと管理効果
 管理サイクルを回すと言うことは、Plan(計画)−Do(実施)―Check(検討)―Action(対策)そして次のPlanへと管理データを受継ぐことである。実績データを計画に受継ぐ時に重要なことは実績工事と計画工事の作業は似ていると思うことである。つまり、工事を詳細な要素作業に分解するとそれぞれ(“基礎掘削・砂利敷き・捨てコン・型枠取付…”など)はいつも経験していることが多い。
 管理サイクルを回すと殆ど自動的に管理効果が生れる。つまり、管理サイクルの中に効果を上げる因子が潜んでいる。このため管理効果を生むには管理サイクルを回すことが不可決である。名称や見掛けが似ているだけでは管理効果を望めない。仮に似ている行為をして効果を生んだようでも、それは管理効果とは言えないだろう。例えば、原価管理と称して実行予算を厳しく査定し担当者を精神的に追込んで(緊張させて)効果を出しても管理効果とは言わないのである。なぜなら、同じ取組みをしても同じ結果が出る訳ではなく、又、管理効果を上げようと更に追込んでも実現することは難しいだろう。“管理”は精神的ではなく科学的な原理を元に実行すべきである。
 明確な計画を作り実施すると計画の問題や実際の情況を明確化できる。次の工事では前に起きた問題の“予防”や“カイゼン”ができるように計画して実施すれば、良い結果が出るのは当然である。つまり、前回よりも良い行動を取るから管理効果が生れるのである。人間は神様ではないから完全な計画は作れない。計画を作り実施すると問題点やカイゼン案が見つかることが次々と続くことになる。

2.WBSで管理サイクルを回せるか?
 建設業は商品(建造物)の注文を受けてから造るいわゆる受注産業である。工事内容は施主によって変り、施工は現地で行うため工事毎に現場条件が異なってしまう。このように工事の内容や条件が全て異なるため我々は工事毎に計画工程表を新しく作るしかないと考えてしまう。このように考える人が工程計画を作る時に利用するのがWBSである。毎回新しく作るということは計画して実施するとそれで終りになるため、P−D、P−D、と管理サイクルは1つの計画毎に寸断される。これでは管理サイクルを回したことにならない。このように、工事毎に計画工程表を新しく作ろうとする人は、工程表を標準化できないと考えている場合が多い。
 一方、工程表を標準化しようと考える人は、工事全体を要素作業に分解するとほとんど経験している要素作業で構成されていると考える。この結果、実績を参考にして計画しようと考える。計画工程表を作る時は実績の類似工事を参照し、まず新規工事に必要な要素作業が「有るか無いか」チェックして調整し、次に各要素作業の「作業量(資源数から所要時間に影響)」で調整すれば叩台工程表が出来上がる。このようにすると実績データを計画作りに利用することが可能となる。実績工程表を参照すると計画工程表は早く作れ、工程表の精度は高まる。これに関連する説明は「工程計画の段取」で述べる。

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