モンゴルへの旅3
新規投稿者 三木 伸哉  投稿日 04/10/6(水) 05:47:27  返信も含め全削除
 やがて私が全くの素人であり、この馬では無理と考えたのであろう。自分の馬と取り替えてくれた。一回り大きくいかにも駿馬という風貌、気だてが優しく、ひとり中国人だけでなく、外国人もよく面倒見てくれそうな国際感覚も持ち合わせている馬のようだ。
この馬なら申し分ない。最初からこのような馬をあてがってくれれば良かったのだ。
 それから約1時間、大砂丘を走りに走った。息弾ませ、尻に擦り切れの傷が出来たことも忘れて、ジンギスハーンも駆け抜けたであろう大砂丘を人馬一体となって走り抜けた。一頃競馬にうつつをぬかしたというか、たしなみのある私は、さながらダートの馬場を、サラブレットが4コーナーを廻りゴール目指して疾走してくる、あの勇壮な場面を再現しようと、砂丘を走り回った。
 壮快な気分である。大砂丘の上に辿り着き、全方位360度の砂丘の遙か地平を眺めた。
「ああ馬も悪くない。かつてこの地のモンゴリアンが馬賊となって中国全土を席巻
し、跳梁跋扈したのだ。このオレもモンゴル娘に秋波を送り、若き娘を娶り馬賊と
なってこの地に住み着こうか」などと若者らしい夢を頭に描いたものであった。
 全方位360度の大砂丘、所々に小さな砂丘が見え、その砂丘の樹木が紅葉の盛りであろう、殺風景な灰色の砂丘に華を添えていた。  
モンゴル大砂丘をおよそ1時間半、初めの恐ろしさが、やがて大きな自信につながり、尻に大きな擦り傷をこしらえて暮れなずむ馬場へと戻ってきた。
  
とほき世にジンギスハーンは兵を統べ この丘いきしか嘶きのなか

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