日本の旅とその歴史の背景 20「浅間山荘2」
新規投稿者 三木  投稿日 08/9/4(木) 05:32:41  返信も含め全削除
独り言止みて気づきぬ逆海老に 緊縛されし友も逝きたり
 榛名山ベースのなかの「総括」で、仲間を粛清した場面、逆海老に縛り上げていた仲間もいつの間にか独り言も途絶えた。周囲に漆黒の闇が迫る。

戦慄きて埋葬をせし闇のなか 手を合わせいし友ありという
 坂口自身には手を合わせる気持ちはなかったのであろう。この仲間の総括の場面では、殺されても当然という氷のような心情が窺えるが、獄中生活の中では、彼の心情も次第に変わってくる。

長男が悲しき姿で夢に出しと 遺族の方の便りにありき
 最高幹部として仲間を粛清したその悔恨の気持ちが表出されるようになる。

ゴキブリの紙切る音もいつのまにか 消えたる牢の秋の夜半かな
 獄中生活21年、静寂きわみの世界に、ゴキブリが紙を切るその音も途絶えた、死刑囚の一番恐れるのは、処刑を知らせる看守のことば「今日は特別お話があります」。と言われて所長の待つ部屋に行く。娑婆とのお別れである。
 詳しくは元刑務官、坂本敏夫氏「死刑執行人の記録」に詳しく書かれている。

 母を詠んだ絶唱5首
こらえても嗚咽こみ上げうろたえぬ 調べ室にて母と会うなり
傍聴の母を幾たび泣かせしや 三年あまりのリンチの証言
職の名を訊けど母は答えざり 人室のわれを支える仕事
これが最後これが最後と思いつつ 面会の母は八五になる
子のわれの刑判決ありし日に 行き処なくさ迷える母
 もうなにも注釈は必要ありません。母はどんな仕事をしながら息子を支えてくれているのか分からないまま、彼は処刑されていった。

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