<12>注文生産市場システムの研究が必要
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/8/17(日) 18:11:06  返信も含め全削除

1.商品生産市場システムの進化
 市場において企業活動の主たる部分を時系列的に整理すると、生産行為があって取引行為に及び、その結果として現品の引渡しが行われる。この行為は通常の市場経済においては、完成した商品を市場に提供し、市場で売買が成立すれば、現品と貨幣との交換取引になるか、現品と信用との交換取引となり、通常の取引行為は、現品の引渡しをもって完了する。この取引形態の生産方式を商品生産という。この商品生産は、受注生産の場合とは違い、販売をする前に生産行為がある点に特色がある。したがって生産は市場が要請する品質や機能、価格等を調査し、市場ニーズに応える形で事前に生産するもので、品質や機能が確定した既製品として市場に出回るのである。そのため市場の競争が激化し、価格が大きく変動しても、現品確認が行われることで、市場経済に激しい競争原理が作用しても、取引関係者双方が対等の立場で取引が行われ、客側に損害を与えることはない。このような商品生産市場システムを前提にして、今日の市場経済が順調に進展してきたのである。

2.先物売買市場システムの特徴
先物売買市場システムは、取引時点で現品の引渡しが行われず、数ヶ月等の先に現品を引渡す約束で売買される取引である。そのため先物取引市場では数ヶ月先の相場を予測しなければならず、投機的要素が入り込む取引となる。この点が先物売買が不安定な取引になる所以である。先物取引の市場においては、専門的な知識や技術が必要であり、関係者が注意深く取引するもので素人向きではない。しかし先物売買市場は、商品市場とは別途に、先物売買専門の市場が用意されており、その専門家によって一定のルールの基で運営されている。この先物売買市場システムについて、素人によるトラブルが多少あるが、先物売買市場システムは、商品市場における将来の価格変動の見通しについての情報や、先の見通しによる計画生産を可能にするために、現実的な価額で将来の原料を確保するための手段として、先物売買市場システムは重要な機能を果たしている。その意味で先物売買市場システムは、商品生産市場システムを補完する機能を果たしている。

3.注文生産市場システムの概念を確立すべき
 商品生産は、生産されてから販売されるのに対し、注文生産は、生産される前に売買が行われるため、注文生産市場システムは、先物売買市場システムに非常に類似している。両者の共通点は、売買行為が先行し、現品の受け渡しが後日になる点である。そのため将来の現品引渡しに関して不安感が漂うことも類似している。注文生産の購入者は、将来受け渡しが行われる現品の品質や機能について、常に不安が付きまとうのである。生産者側も大型注文品の場合は、生産期間が長期にわたり、資材等の価格変動や資金の回収等、引渡しが済むまで不安が付きまとうのである。このような不安は、取引行為の時点に現品が現存していない点であり、注文生産は先物売買と同様に大きな不安を抱えながら、取引を先行させる仕組みとなっている。そこで先物売買市場が別枠の市場を形成しているように、注文生産市場は商品生産市場に馴染まない部分があるのであるから、別枠の市場概念で市場システムを研究しなければならないと考える。

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