<18>市場で不具合を起こす取引形態の検討
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/10/5(日) 20:57:06  返信も含め全削除

1.市場において不具合を起こす取引形態
 市場において発生する取引上のトラブルは,どのような状況下で発生するものであろうか。既製品生産市場においては,現品による取引であるから,取引の段階で品質等が確認できるため,大部分の取引内容は納得済みで取引が成立する。仮に品質等に瑕疵があった場合や,その場でチェックすることができないものであれば,PL法等の法的処置が必要な場合もあるが,既製品売買市場においては,専門的検査や高度な評定が必要なもの等,後日にトラブルが発生するようなものを除けば,取引時点の現品チェックの段階で判明し,取引の合意点が容易に完結する。国民が行う全取引の9分9厘は既製品取引であり,大きなトラブルがないのはそのためである。

2.他産業のトラブル事例の割賦販売
 物品を購入する場合に代金を分割払で購入する方法がある。近年は自動車のような大型物品購入の場合でしか見られなくなったが,過去には小型の家庭電器製品にもよく見られた購入方法である。購入後に代金を分割払する形態は,通常の既製品買取引であるから特別の問題は発生しない。しかし割賦販売方式には,事前に代金分割積立方式があり,特定商品の購入を契約した後,毎月一定金額を分割して積立をする方式がある。例えばA製品を\100,000で購入する契約を締結する。購入者は毎月\5,000積立し,積立契約期間が到来すれば現品の引取をする仕組みである。この取引形態には多くのトラブルがあった。現品引渡までに数ヶ月を要するため,その間に新製品が開発されるため,契約時の製品より品質や機能が向上しており,価格も契約時よりも安い状態になっている場合がある。購入者は古い品番の製品では納得しないのである。また,契約時の品番のものを要求したとしても,メーカーが生産中止している場合もあり,分割積立方式は生産者側と購入者側の双方とも不具合を起こしてしまうのである。現品引渡しが後になることから発生する不具合の事例である。

3.現品引渡しが未来になるための不具合
 現品引渡しが将来に及ぶのは請負業だけではなく,他の産業においても現品引渡しが将来に及ぶ取引形態は,例外なく不具合が多発している。市場経済は現品同時交換を前提に進展してきたのであるから,当初の市場経済は,高度な注文生産物を想定していなかったのである。注文生産も初期の段階では,注文者の高度な思いを込めた生産物や今日のような高度な科学技術が発展する前であり,レベルの低い単純な生産物の時代であれば,既製品生産市場の隙間を借りてもよかった時代であった。しかし今日のような高度な注文生産が要求される時代は,既製品生産市場システムと注文生産市場システムの大きな違いを,明解に分けて研究すべき時代が来たのである。市場システムが本質的に大きく違うのであるから,市場システムという土俵を明解に分けて研究すべき時代になったのである。ボクシングのリングの中で,相撲をとらせているようなもので,不具合が発生するのは当然である。ボクシングのリングでは,押し出しという技は存在しないように,注文生産市場は,先物売買市場に近い取引行為であるから,注文生産市場の土俵ができれば,不具合の研究が大きく進展するに違いない。

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