<23>一般競争入札について考えてみよう
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/11/9(日) 23:43:42  返信も含め全削除

1.一般競争入札の難点
 市場において完全な一般競争入札による取引は難しい。それは品質に不安が付きまとうからである。品質に不安がなくても,専門的知識がなければ材質や機能が判定できないものがあるためである。そこで品質等の判断ができないものは,信頼のおけるメーカーで選択することや,信頼のおける販売店で選ぶことがあるのはそのためである。しかし,既製品であっても新品であればよいが,中古品のようなものであれば難しい。中古品の場合は外観の傷程度であれば判定できるが,性能等の判定は素人には難しい。新車であればカタログでも買うことができるものが,中古車であればカタログで決断することは難しい。このように既製品であっても中古品になれば,現品を確認しても購入の判定が難しいのである。この既製品に対して注文生産の難しさは,既製品とは比較にならないほど難しい。注文生産は,現品が手元にない生産物を発注するのである。この発注品を誰でもいいから安いほどよい。という注文の仕方を適切にできるであろうか。

2.特殊な注文生産品は一般競争入札を中止すべき
 前述のように既製品についても難しい問題が多々存在するが,それ以上に難しい注文生産品を,一般競争入札にすることは,無謀といわざるを得ない場合がある。特殊な製品で高度な機能を要求される生産品を,信頼できる適切な生産者を探し,その生産者を指名した上で,価格交渉による随意契約になる必然性があるのである。しかし公共調達の場合は,民間投資とは違い透明性が要求されるため,競争性を導入し公明正大な取引にするため,考案された入札制度が一般競争入札である。しかし、一般競争入札を透明性だけを見れば,透明性を確保することができるかもしれないが,現実的に適正な取引行為が行われるとは思えない。それは透明性を確保することを目的とする行為と、現実的に一般競争入札が正常に作用させることとは別問題であるからである。本来,入札制度を正常化することが重要であるのに,一般競争入札は不具合が多すぎて,未完成な入札システムと言わざるを得ないのである。とりあえず整備されるまでは中止すべきである。

3.注文生産市場の研究の遅れ
 近年なぜ,一般競争入札へ急速に引きずり込まれていくのであろうか。経済刑法の規定が先行して規定されたため,適切な入札制度の自由な研究ができないような環境にあり、それで研究が遅れてしまったのであろうが,できるだけ早めに入札制度の研究をすべきである。しかし、入札制度の研究は,現状の市場論の中で研究しても解決策は生まれない。なぜなら,市場論の市場システムは,既製品市場を前提としたシステムであるため,いくら研究しても現状の入札論を進化させることができない。そこで従来型の既製品を前提にした市場論から,注文生産市場を分離し,独自の注文生産市場の土俵作りが必要で,注文生産市場の土俵概念ができれば,新しい注文生産市場の概念のもとに,新しい注文生産システムの研究が進むであろう。注文生産の土俵ができても,新しい研究が進まないかも知れな。しかし注文生産市場の不合理性や不具合の悩みを,国民全般に認知されるだけでも成功である。

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