<24>コンプライアンスと未熟な市場ルール
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/11/23(日) 13:25:36  返信も含め全削除

<休刊のお詫び>
 建設業界の入札問題の不具合を研究すればするほど,難問が続出し整理が追いつかない状態でした。そのため前週の刊行ができませんでした。申し訳ありません。阿座上洋吉

1.近年のコンプライアンス論議と社会背景
 コンプライアンスという言葉は,近年よく耳にするようになった。この言葉は,法律遵守や企業倫理が問題になる場合に用いられることが多いが,法事国家としてこのようなことは当たり前のことであり,議論する余地がないはずである。それにもかかわらずコンプライアンスがこれほど騒がれるのは何故であろうか。その一つに情報化社会の現象が上げられる。良し悪しは別にして世界のニュースはリアルタイムに報道されるし,企業の内部の不都合な情報までも発信されることが多くなった。この現象を過去と比較すれば,正確な情報が公表される社会になったのであり、良質(正確)な情報が発信される社会になったことを表している。人間は自分たちにとって都合の良い情報は過大に発信するが,自分たちにとって不都合な情報であればできるだけ隠すものである。現代社会の特色は,自分たちにとって不都合な情報までが発信されるようになってきた。内部告発が常態化する中で,不都合な情報でも発信せざるを得ない社会になったのである。

2.内部告発という発信源に何が起きているか
 各種の集団内部に不都合な行為が行われた場合に,昔であれば内部告発されることは少なかった。昔は所属している集団の恥じは自分の恥という価値観があり,集団内部の不正や不祥事,不具合等の恥部は,見て見ぬふりをすることが多かった。そのため内部告発は非常に少なかったのである。集団内部の不正や不祥事,不具合等を黙認することは決して良い事ではないが,現代社会は間違いなく集団に所属する意識や価値観に変化が起きている。「寄らば大樹の陰」という昔の格言は.大きなものに頼る方が個人としても安心であるという意味であるから,自分が所属している大樹に傷をつける行為(内部告発等の行為)は,結果として自分にもその損害が及ぶことを恐れたものである。現代社会は人材の流動化が始まり,集団の所属意識が弱まってきたのである。その結果として集団の帰属意識が希薄化し,内部批判という行為が常態化する必然性があった。この現象は益々進んできたが決して悪いことではなく、社会は正常化へと進んでいる証拠でもある。

3.コンプライアンスの勢いと放置された未熟な注文生産市場のルール
 コンプライアンスの勢いは弱まりそうにない。集団内部の不正や不祥事,不具合等を許さない行動であるから当然のことであり,むしろコンプライアンスの勢いは強まることで良い社会へ進んでいる。コンプライアンスという意味には,「社会秩序を乱す行為をしてはいけない。」という意味にも使われているから,ビジネス社会全体の秩序の面からも,未整備のまま放置されていたビジネスルールは,早急に検討しなければならない。既製品を前提として発展してきた市場経済のルールが,注文生産市場には欠陥となり不具合を起しているのであるから,この事実を本格的な解明し,コンプライアンスに耐えうるルールを整備する必要性が高まっている。

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