<27>注文生産における公共調達の難点
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/12/21(日) 13:58:46  返信も含め全削除

1.注文者の製品に対する想いの強さ
 注文生産の取引形態には難問が多過ぎる。よく談合等の問題で世間を騒がせるが、この談合問題は江戸時代から延々と続いており、これからも起きる可能性は高いと思われる。その社会的背景や要因については色々あるが、必ずしも正確には理解されていない。その根本的な原因は、注文取引の形態にある。注文品の売買行為が生産される前に行われるためである。売買契約の時点で、詳細な仕様書や設計図書が用意されていても、その生産物に対する品質や内容についての強い想いを、生産者に完璧に伝えることは不可能に近いほど難しいのである。

2.注文者の想いが伝達される仕組み
 注文者の想いを受けて設計者は設計するが、設計者は生産者の想いを設計図書に忠実に表現するために努力する。発注者は設計図書を通じて自分の想いを、生産者(建設業者)に伝えようと努力するが、この想を生産者に完璧な伝得ることは難しい。更に元請となった生産者は、下請の専門業者に発注者の想いを伝えなければならないし、専門業者は、更に作業業者にも発注者の想いを忠実に伝えなければならない。このように多くの関係者に発注者の想いを伝えて、注文品を完成させるのである。このように建設に関する注文生産は、生産形態が重層化しており、注文者の想いが多くの人々に伝達されて末端の作業が進行していくのである。

3.注文者が期待する想いとは
 上記のように多くの関係者によって想いが伝達されて生産される注文生産は、既製品売買の取引とは違い、現品が目の前にない状態で売買する形態である。注文者は完成した製品に自分の想いが具現されること期待し、想いを設計図書に託して売買契約に臨むのである。この取引環境の中で、「取引先は誰でもいい。ただ安ければよい。」という一般競争入札の制度は、注文者としては最も不安な状況下に置かれるのである。不特定多数の業者に誰でもいいから安ければ安いほどよいという取引形態に問題がある。これでは注文者は製品が完成するまで不安に襲われるのである。民間工事で一般競争入札が安易に採用されないのはこの点に理由がある。数社から見積を入手し有利に交渉することが一般的で、指名競争入札に似ているが単純な競争入札はしない。民間工事の取引形態が特命による随契が一般的になる理由は、注文者の想いを信頼できる生産者に伝えたいためである。

4.公共調達だから仕方がない
 民間工事は、自分の大事な資金で大物の買い物をするのであるから、信用のおける生産者を探し出し慎重に選考し、特命による随意契約になる必然性があるが、公共調達の場合は、公共性や公平性の観点から広く一般の公募による一般競争入札にしなければならないという意見があるが、このような発言するひとも、個人として自分が発注するものは常識的な特命随契にするという。それでは公共調達は自分の金でないから、無責任に誰でもいいから安ければ安いほどよいという一般競争入札になるではないか。これでは理屈に合わないのではないか。このようにおかし点を国民も気がついて欲しいものである。

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