<28>注文生産に関する研究学会の創設を
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/12/28(日) 18:02:30  返信も含め全削除

1.注文生産の形態の業界
 取引形態が請負になる産業としては建設業、造船業、航空機産業等多々あるが、これらの産業は典型的な請負産業であるが、既製品として建売住宅や定型的な小型船舶、定型的な小型航空機等の既製品生産をする場合もあるが、これらの業界は圧倒的に注文生産を請負う産業である。これに対して通常の工業製品を生産している業界では、既製品として生産するものが主力であるが、中には客の仕様によって注文生産をする場合もあり、簡易なものとしては自社ブランドとして名入の製品を、注文者の仕様によって生産する場合もあり、この部分の生産は注文生産の形態となる。

2.注文生産の売買契約の形態
 注文生産の特色は、繰り返しになるが製品が生産される前に売買契約を締結する点にある。この取引形態が不具合を惹き起こす要因である。生産される前の段階では、製品の品質や機能、使い勝手等の確認ができない状態の中で売買契約を締結しなければならないために、後日に不具合が具現化するのである。この点が既製品市場と決定的な違いである。注文生産の不具合はすべてこの部分が原因となって発生する。市場経済の仕組みが、既製品売買市場の仕組みで発展したものであり、注文生産の売買を市場経済が想定していなかったために、既製品の売買市場では問題が発生しないのに、注文生産市場では不具合が頻発する。そのため注文生産の取引形態が不具合を回避するため自然に、特命による随意契約になるのである。

3.注文生産研究学会の創設について
 民間における注文生産がなぜ一般競争入札を避けるのか。自由競争の市場では、法的に規制がなく、自由な市場活動の中で、自由に放任された環境の市場においては、自然に特命による随意契約になる必然性がある。この自然な成り行きや法則を無視して、公共調達の場合は別問題であるとする意見もあるが、この公共調達別問題論には、市場論の立場からすれば容認されるものではない。なぜなら、自由主義経済の市場原理は、取引双方が対等の立場で、少しでも有利不利の差があってはならない。自由主義経済の理念に根幹のところで抵触するからである。もし一般競争入札がこの理念に反する場合には、公共調達といえども一般競争入札を採用すべきではない。買う立場の客が、生産者を決める重要な権限を放棄する一般競争入札は、市場経済の根本理念に合わず公平性を失ってしまう。この点を本格的に究明する学会が必要ではないだろうか。しかし、注文生産を究明する学会を創設したとしても、注文生産の取引を公平公正なより良き取引形態が発見されるとは限らない。

4.研究成果がないかもしれない
 注文生産市場の研究を進めても、市場論として適切な取引形態がないかもしれない。しかし適切な仕組みが発見される可能性だって少しは存在する。であれば研究を進める価値はあるのではなかろうか。仮に全くないとしても注文生産市場の取引が、難問を抱えて苦しんでいること国民に伝えるだけでもいいではないか。いづれににしても一般競争入札の不具合のまま継続すべきではないのである。

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