<29>談合破りとダンピング
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/1/4(日) 14:33:47  返信も含め全削除

1.談合は発注者に不利益を与える
 談合は決して許されることではないが、必要悪といわれる所以にはそれなりの理窟があり、その理窟を解明することも必要かもしれない。談合は、受注者サイドの要因で起きる場合が圧倒的に多い。工事量の減少期には買い手市場になり、受注者側の競争が過度に作用するため、これを避けるために受注者側同士が話合いによって仁義なき戦いを避けようとする。この受注者側の話合いは、本命と言われる落札者を決めること。次に落札金額をできるだけ有利に決めることの2点である。そのため発注者側の意図(良いものをできるだけ安く)が無視され、発注者側が一方的に不利益を被ることになり、公正な取引を阻害するため法的に禁止されている。これに対して工事量増大期になると売り市場になり、生産者の受注活動は有利に作用し、受注金額についても有利な価額で契約ができる環境になるので談合の必要性はなくなる。このような現象は、既製品市場においても起きる現象であり、売り手市場か買い手市場の現象を繰り返しているのである。

2.談合破りも発注者に迷惑をかける
 工事量が豊富な時代は、売り手市場になり受注者側は有利な環境になるため、談合の必要性が薄れるが、談合が問題になるのは工事量の減少期である。工事量の減少期になると受注者側の経営内容も悪化しており、工事量の減少と経営悪化が重なるため、注文生産市場の受注競争が激化する。通常の市場取引においては原価を割ってまで争うことはないが、経営内容の悪化と重なっている場合には、施工活動の問題ではなく、資金繰りの問題によってダンピングが発生する。この時代には一発型と言われ談合破りが発生することも多く、迫りくる手形の決済のための取引が発生するため、原価を無視した取引になる場合もあり、正常な市場取引ではないことは言うまでもない。このような状況下で受注した企業は、正常な生産活動が出来るわけではないから、結果的に発注者に大きな損害を与えてしまう。つまり「良いものをできだけ安く」という市場経済の機能が無視された結果である。談合破りが発注者に大きな迷惑をかける結果となる。

3.一発型の談合破りの防御策は
 受注者側の談合は、発注者を一方的に不利な状態にするが、一発型の談合破りが発生しても、発注者に大きな損害を与える結果になる。市場経済は自由な競争市場を前提として成り立つものであるが、一発型の談合破りは市場において常に発生する可能性があり、市場経済の機能として防ぐ方法がない。ここで問題になるのは、市場経済の大原則である「良いものをできるだけ安く」という機能が作用しないことである。既製品市場においては現品チェックによって品質を確認した上で、売買契約することが出来るが、注文生産市場においては現品確認ができないため、既製品のように市場機能が作用しないのである。本来は、談合がない談合破りの取引環境を市場経済というのであるが、これは既製品市場の場合に成り立つ仕組みであり、どう考えても注文生産における「安ければ良い」という競争原理が、注文生産の取引に一般競争入札は向かないものと考えられる。そのため民間の取引では、一発型の談合破りの防御策として、特命による随意契約になる必然性があるのであろう。

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