<31>会計法における一般競争契約の整理
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/1/18(日) 19:52:15  返信も含め全削除

1.会計法の大原則一般競争契約
 わが国の会計法は、一般競争契約を原則としている。これは当然のことで、自由主義社会における市場経済では、不特定多数の者が自由に競争することを前提にしているからである。市場経済は、取引の当事者が対等の立場で公平な取引が可能な環境でなければならない。これが市場経済における自由競争の基本原理である。そのため一般競争契約が大原則となり、会計法に一般競争契約を採用することが必要となるのである。しかしこの一般競争契約が問題になるのは、既製品の取引においては、取引双方が対等の立場で取引する環境が常に形成さるのであるが、注文生産取引については、対等の取引環境を保つことが常に難しいのである。なぜなら既製品の場合は現品が確認できるため、双方が対等の立場の環境が整うのである。既製品市場の競争環境は、購入者側は、既製品提供者を自由に選択する権利と、提示された既製品の中から必要な物を自由に選択する権利を有することになる。これが通常の市場経済における取引双方の対等制である。

2.注文生産の不具合
 既製品取引の一般競争契約と比較すれば、注文生産市場において一般競争契約をする場合には、既製品市場では見られない奇妙な現象が起きるのである。購入者が取引相手の選択権の放棄する結果となることである。つまり購入者側(注文者側)が自由に取引相手を選択できないのである。市場において購入する側が、自分の必要物を自分の裁量で選考して購入するから満足できるのである。自分に選択権がない取引は、市場の対等性が崩れている可能性が高いのである。注文生産は自分のオリジナルな物の生産を依頼するものであり、しかも高価な物の生産であるから、取引相手を選択する権限を放棄すること自体が難問であり、非常識な取引といわざるを得ないのである。いかに公共調達の公平性公正性の見地からみても、注文生産は、一般競争契約方式は、過大な無理が契約の段階で発生することを忘れてはならない。

3.会計法の思惑と不具合
 会計法の29条の3の規定に、売買、貸借、請負、その他の取引に4区分しているが、通常の売買や貸借取引とは、請負を別表示していることは、通常の売買や貸借と相違していることを認識している。しかも同条3項に指名競争契約と同4項に随意契約が規定され、注文生産市場においては、近年まで原則規定の一般競争契約が使われていなかったのである。注文生産市場の請負契約の大部分は、指名競争契約と随意契約によって行われてきたのである。これは一般競争契約が使われなかったと言うより、不具合が多く一般競争契約は使えなかったと言うべきである。これが近年のコンプライアンスの面から、一般競争契約が叫ばれるようになり、この原則的な一般競争契約を使い始めてみると、不具合が続出しその処理に苦慮している。品確法や適正化法、総合評価法と不具合をパッチワークのように対応せざるを得ない状況に追い込まれているではないか。そこで法律論の視点ではなく、市場論として本格的に注文生産論不具合やメカニズムを究明する必要が出てきたのである。

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