<35>高度な注文生産市場は、既製品市場と別格の認識
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/2/15(日) 14:50:39  返信も含め全削除

1.物々交換から始まった今日の市場経済
 物々交換から始まった市場経済は、既製品を前提として発展したことは異論の余地はないであろう。既製品市場では交換物の現品が存在していることが前提であり、現品のチェックがなければ取引は成立しないのである。したがって、品質については取引の双方が完璧に近いほどの確認が出来ることを前提とした市場形態である。このような既製品市場では、注文生産のように売買の時点で品質が確認できないものは想定していないのである。つまり市場経済は、注文生産を想定していない時代に始まった既製品市場に、後から注文生産の取引形態が参入してきたため、注文生産市場で不具合を起こしているのである。

2.当初の幼稚な注文生産の形態の場合
 経済が発展する過程の中で、経済力をつけた人々は、自分だけのオリジナルな生産物の欲求が高まれば、注文者の仕様によって生産を依頼する取引形態に発展する。生産者側においても生産手段の機能性の高い道具が必要になり、工夫された生産機材の高度化の欲求が高まってくるため、注文者からの依頼を受けて生産する取引形態が増えていく必然性がある。初期の注文生産の形態は、通常の既製品に比較してそれほど高度な生産物ではなかったであろう。つまり幼稚な製品の注文生産であれば、既製品市場の取引形態と大きな相違はなかったであろう。したがって既製品市場の片すみを間借りして、同じ既製品市場の土俵ルールに従って取引したとしても、大きな不具合にはならなかったはずである。

3.高度な注文生産の取引形態
 今日の高度な注文生産の取引形態は、既製品市場の取引ルールに合わせることが出来ないほど高度化が進んできたのである。つまり、いかに詳細な設計図や仕様書等が作成されても、科学的に高度な内容のものを当初から見落としなしに、仕様書等に完璧に表現することは不可能である。ソフト産業のように内容を完璧に表現することが不可能に近いものもあり、建設業界のように高級感とか安定感等のデザインについても、注文生産形態の場合は、取引時点においては現品を確認する方法がないのである。このような取引形態に「誰でも良いから安ければ安いほど良い」というルールは既製品の場合と違い、論理的に機能しないのである。

4.注文生産によける一般競争入札の補完制度
 市場経済は、本来取引相手を制限するものではないが、一般競争入札は理論的に不具合なものが多く、その欠陥を補うものとして、建設業界では法律によって一定水準の生産能力を判定し営業の許可を与えている。また規模や機能の能力の違いを検討し、格付けというランクを付けている。近年は、更に適正化法、品確法等の法令で一般競争入札制度を側面から補完するものが増えている。中でも総合評価法の趣旨は、一般競争入札の欠陥をどのようにカバーするかで懸命になっている。これほどまでにしても一般競争入札が欠陥を補いきれないのは、一般競争入札制度自体が、市場経済に合わないことを示しているのである。一般競争入札自体を根本から論理的に解明し、根本的な不具合を解消するための研究が望まれるのである。

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