<36>一般競争入札の利点を徹底研究する
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/3/1(日) 14:04:19  返信も含め全削除

1.一般競争入札の欠陥
 一般競争入札には大きな欠陥が存在するが、決して欠陥ばかりではなく多くの利点も存在する。一般競争入札の欠陥を再確認してから利点の部分を究明することにしたい。純粋な一般競争入札は、市場論の視点で学問的に整理するならば、無謀な部分が多く見られ、これが欠陥として指摘されている。客の立場である発注者が自ら生産者を指名する権利を放棄することになる一般競争入札は、将来生産される製品の品質等に不安が生ずるため、取引相手を信頼できる十分な情報がないまま発注することは難しく、むしろ無謀というほかはない。注文生産市場において純粋な一般競争入札が存在しないのはそのためである。本来注文生産の対象物は、注文者の仕様によるオリジナルなものを生産するのであるから、注文者の思いが強く作用するものであって、その思いを不特定多数の生産者に呼びかけて、誰でも良いから安ければ安いほどよいという注文の仕方は無謀である。この点で純粋な一般競争入札は、市場論としての不合理性が強く指摘されている所以である。

2.談合が生まれた背景
 一般競争入札の利点はどこにあるのであろうか。これは国民等の第三者から見れば、一般競争入札は透明性や公平性については最も適切に機能するため、公共調達に最も適していると言われている。しかし江戸時代から延々と続いてきた談合は、一定の業者に限定した指名競争入札の環境の中で発生したもので、水面下で行われるため最も透明性や公平性を阻害している。その意味で透明性、公平性の面では一般競争入札は、指名競争入札より談合環境を回避する仕組みとしては優れている。しかし、過去の生産者側で発生した民主導の談合は、注文生産市場における競争入札の仕組みに原因があり、過度な競争作用を軽減する機能として談合が行われたものである。不良適格業者が短期的な資金繰りのため、強硬に参入する低入札行為や、弱者を潰す狙いで参加する強引な争い入札等、市場のシステムを破壊する行為が起きることがあり、談合は秩序を保つための機能も果たしていた。このような部分の機能を指して必要悪と言われていたのである。

3.透明性の視点では一般競争入札が有利
 今、国民が一番嫌うことは不透明さの問題である。これは良質な情報化社会の到来と共に、国民は益々透明な情報化社会を期待するようになってきた。このような時代であるからこそ水面下で行われる談合は許されないのである。今後は益々透明性の要求が強くなるばかりである。この時代に注文生産市場は、一般競争入札が通常の取引形態になることが予想される。一般競争入札と対比される特命による随意契約は、特定の生産者を決定し、注文生産の内容と金額を話合いで決定する方法であるから、生産者を特定する部分と取引価額を決める段階に恣意性が強く入り込み不透明になる。この生産者の特定と金額の話合いの部分については、恣意性を排除する仕組みが難しいのである。仮に科学的な公平な決定ができたとしても、国民の大多数は不透明であれば納得するはずがない。とすれば、生産者の特定と取引金額の確定の部分についての透明性の確保の視点でみれば、一般競争入札より優れた入札制度はないのである。しかし透明性だけでは解決策にならないのが入札問題の難問である。

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