<41>入札制度の公平化を探る
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/4/5(日) 11:27:50  返信も含め全削除

1.一般競争入札の趣旨
 一般競争入札を原則とする根拠は、公共調達の入札制度において公平性の視点から主張されたものである。しかし、公平性の基準だけの視点で入札制度を実施するのであれば、くじ引きによる抽選入札が一番良いことになる。しかし抽選入札の欠点は競争原理が作用しないため、企業の努力と関係ない制度である。これでは市場に競争原理を作用させる経済システムを認めない結果となり、近代市場経済の理論を完全に無視することになる。その意味で抽選型入札制度は市場の競争メカニズムを破壊することになるため許されるものではない。

2.無限大に競争原理が作用する欠陥とくじ引き
 オーダーメイドの競争入札制度の欠陥は、限りなく価格の低落競争原理が作用するため、実質原価のラインも超えた低落競争が頻繁に発生し、適正な価格で落札されることが難しい。民間工事であれば、低価格の落札にならないような話合いが行われる随意契約が主流であるから、極端な低入札になることはないが、公共調達の場合は低入札が発生することが多々ある。その対策として多くの地方自治体は、最低入札価額を決めている場合が多く、低入札にならないように配慮している。しかし予定価額から20%から30%減の最低制限価格が決められていると、入札金額が最低制限価格に集中するため、結果的にくじ引きにせざるを得ない状況になる。前述したようにくじ引きによる抽選は、市場経済制度を無視する結果となるのである。全ての工事がくじ引きで行われている自治体まで現れている。

3.市場経済の公平の原理
 市場経済における公平性の主張は、競争の公平性をいうのであって、工事が公平に割り付けられるというものではない。工事が公平に配分されるという公平思想は、共有財産主義の思想であり、自由主義における経済思想ではない。市場経済における公平性は、競争環境に不公平があってはならないという意味であるから、制限の付かない競争原理のことを競争の公平性としている。この定義に合致する制度が一般競争入札になるのである。しかし、この一般競争入札が限りなく低入札化する誘発する仕組みを内包しているのである。この点が一般競争入札の大きな欠陥となっているのである。

4.一般競争入札は既製品市場に限定を
 公共調達について、会計法第29条の3に規定した一般競争入札は、既製品市場において限定すべきであって、オーダーメイドの市場まで同列に規定しているのは無謀である。公共調達についての既製品分野においては、何ら不具合を起しておらず、一般競争入札は正常に機能している。繰り返しになるが既製品は品質が確定しており、取引時点で品質の確認が可能であるから、一般競争入札が可能となるのである。オーダーメイドの一般競争入札が不具合だからとして、総合評価法で補完してみたが、総合評価法では無理であることは明らかになりつつあり、仮に適切な手法が編み出されたとしても、過剰な制限をつけ過ぎた入札制度は、一般競争入札の概念には程遠い制度になってきた。総合評価法に限界がきたことを表している。

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