人材教育研究部会

2002/1/4

人材-1 新時代の新しい人材の要請

人材-1-4 アウトソーシングの進化と人材

(1)アウトソーシング時代の人的システムと教育の視点
 企業は、専門家集団を正社員として抱えることは二つの点で難しい。一つは専門家が高給で固定化することである。二つ目は、専門分野の変化が速いことである。企業は常に人材を流動化しなければならない。人材を固定化することが企業の命取りになりかねない時代である。従来の日本的経営が臨界点に達したのもこの人材固定化が原因である。人材の流動化は企業サイドも流動化を前提にした雇用形態にしなければならない。水車型の中心部に力が集中するように、H型人材を正社員であろうが、アルバイト・パート・派遣社員等であろうがシステムが常に一体化するシステムを考えなければならない。人材が不足した場合でも自由労働市場から調達し、その日から人的資源が有機的に一体化して機能するシステムを構築しなければならない。このような思想による人材教育は始まったばかりである。

(2)アウトソーシング時代の専門教育
 従来型の正社員を全て抱え込む時代は、人材の完全自前型経営であり、終身雇用型の社員教育が必要であった。同一企業に定年まで雇用されることを前提とした人材教育であった。そのため人柄中心の教育で「同じ釜の飯を食った仲」という居心地のよい社内をつくるための教育思想が中心にあった。しかし、今日のように超競争市場時代に、アウトソーシング型経営への移行が始まると、本格的に専門家の教育要請が強くなり、今までの教育機関の機能である平均人間製造工場では、高度成長期時代までは機能したが、今日では機能を失ったと言わざるを得ない。人材が固有する特性を引き出す教育が強く求められている時代となったのである。

(3)アウトソーシング時代のチ−ム編成型人材
 アウトソーシング時代は、単なる専門家ではなく、チーム編成に馴染むH型専門家が求められているのであるから、派遣先のチームに溶け込む能力も要求される。これらの人材が本物の資源として機能するためには、単なる知識や技術の習得だけの問題ではない。なにより新しいチームに参加した時点からチームに勢いをつける人材でなければならない。今の日本経済に一番欠けるものは、人材の勢いであり、国全体の経済にもこの勢いが不足しているのである。

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