建設産業研究部会

2001/10/17

建設-2<ISOを機能化する>ISOの失敗事例と再生化

建設-2-9 IT化とISOの接点

(1) IT化時代の神経システム
 IT(Information Technology)化は、情報通信技術を高度利用することであり、経済活動の神経システムとして作用し始めている。この時代にすべての企業が何らかの形でITの影響を受けていることは当然である。ITの影響は大きく分けて二つに分類することができる。一つは社外との関係で起きているIT化である。これはネット社会におけるインターネットの高度利用による外部ネットワークシステムによるビジネス環境ができたことである。インターネットを利用したB to Bは凄まじい勢いで進展しているし、ビジネスの一般的形態となってきているのである。二つめは社内に関するIT化である。社内のIT化は、人的組織の神経システムから電子型神経システムへ切替えという意味があり、新神経システムにより本格的省力化と新しい生産管理の道具として貢献し始めている。IT化は、これから大きなコストダウンにも貢献する道具であることは間違いないのである。

(2) 情報共有化と神経システム
 これからの経営管理は、従来型のピラミット型人的組織によって管理されるものではなく、共有化された情報を各人が利用するシステムが必要になってきた。情報共有化のポイントは、個人所有の情報を公開し個人所有の情報は、原則として持たせないことである。これが全社的e神経系統のネットが構築されることになるのである。

(3) 経営情報の新しい道具
 経営情報は、長い間貨幣評価の公準によって支えられてきた。しかし、近年のIT時代にデジタル信号が、経営管理の道具として貨幣評価の公準を超える力量を発揮し始めている。デジタル信号はあらゆる作業をデジタル化が可能であるし、時系列情報や感性情報等各種の異質な情報を融合させて活用できるレベルまで成長してきている。更に、異質な情報を組合せて加工することができるようになった。このような異質な情報を融合、蓄積、加工することは過去の経営管理の道具には無かったものであり、人類は新しい道具としてデジタル信号を手にしたのである。しかし、この道具はいまだに使いこなしてはいない

(4) デジタルデータは無限の可能性
 デジタルデータの意味するものは何か。デジタルデータはすべての仕事について共通言語として作用するため、経営情報の公準としての性格をもってきた。人類が過去に体験したことがないもので、デジタルデータは経営管理の共通言語として重要な役割を果たしている。デジタルデータはあらゆる社会現象を「デジタルという共通言語」によって蓄積し加工する道具を手にしたものであり、デジタル情報は未来に向かって限りなく利用法が拡大される道具である。現在では想像つかないほどの可能性を秘めており、この道具を使い企業は情報を蓄積し、情報の加工法を研究することによって強力な武器になることは間違いないであろう。その可能性は未知数である。

(5) IT化時代の経営思想
 共通言語であるデジタル情報を経営管理に用いることは、過去の人的経営管理手法とは違うシステムを構築することであり、企業の経営手法が大変身することを意味している。したがって、デジタル情報によって新しい経営活動をする場合には、過去の経営管理手法とは根本的に相違しており、経営思想にまで影響を与えることであり、地域に対する貢献思想や新しい労働観等の経営思想の研究まで手をつけなければならない時代になったのである。

(6) 今こそISOをeワークで
 社内向けのIT化は、情報共有化がベースになるが、現業部門や管理部門等の「すべての作業」をデジタル化することがポイントである。早期にデジタル情報を共有化する基盤を構築し、総合的情報管理システムの基盤を作らなければならない。従来型のペーパーによる報告や命令・人の声によるピラミッド型人的伝達方式から、新しい情報共有型ネットワーク経営管理体制に変更することが重要で、eワークシステムを構築することが重要である。ここにISOの高度活用とIT化のアクションプログラムとしてISOを活用することが重要になってきたのである。

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