2001/11/26
労務費は、賃率(時間当りの賃金)と作業時間を乗じたものであり、予算原価と実際原価の差異が発生するが、その差異は賃率差異と時間差異に分類される。時間差異は能率差異ともいい、この差異の内容分析が重要である。
<例>労務費の内容・・・予算賃率\200(実際単価\206)・・・予算時間500時間(実際時間520時間)
予算賃率\200×予算時間500時間=\100,000・・・・・・・・・・・予算労務費
実際賃率\206×実際時間520時間=\107,120・・・・・・・・・・・実際労務費
実際労務費\107,120―予算労務費\100,000=\7,120・・・・・労務費差異
労務費差異は、実際労務費と予算労務費の差異\7,120であるが、予算額100,000を基準として\7,120の労務費差異を管理することは難しい。なぜなら、労務費差異には各種の原因によって発生するのである。
実際賃率と予算賃率の差 \6 | |
予算単価\100×予算数量200個 =\100,000・・・・・・予算原価 |
実際時間と予算時間の差20時間 |
実際賃率\206−予算賃率\200=\6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・賃率による賃率差異
実際時間520時間×賃率による賃率差異¥6=\3,120・・・・賃率差異
賃率差異は、労働市場の変化や監督者が作業員の能力判定等選択の間違いにより賃率差異が発生する場合がある。前者の労働市場の変化によって発生した賃率差異は、社会変化による要因であり管理不能費である。後者の監督者が作業員の能力判定等選択の手違いにより賃率差異が発生した場合は、監督者の責任であり管理可能費である。
賃率差異@\6×実際時間520時間=\3,120 ・賃率差異 | |
予算賃率\200×予算時間500時 =\100,000・・・・・・予算金額 |
時間差異 <能力差異> |
実際時間520時間―予算時間500時間=20時間
・・・・・・・時間の差
時間差異20時間×予算賃率\200=\4,000・・・・・・・・・・・・時間差異
時間差異は、施工上のミスや施工上の生産性の低下により発生する場合が多く、人為的な原因で発生するもので管理可能費であり、現場監督者等の責任となる場合がほとんどである。したがって、原価管理のポイントは、この労務費の時間差異が中心となるのであり、時間差異を能率差異というのである。
賃 率 差 異 |
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予算賃率\200×予算時間500時間 =\100,000・・・・・・予算金額 |
(実際時間520時間-予算時間500時間)×予算賃率\200 =\4,000時間差異 |