流通産業研究部会

2002/1/5

流通-1<テリトリー型商業文化の崩壊の衝撃>

流通-1-1<テリトリー型流通ビジネス文化の崩壊>

 グローバル化現象が話題になってから10数年を経過しているが、今日ほど身近な問題としてグローバル化を実感することがなかった。今ではすべての行動がグーバル化の意識なしに行動することは不可能である。これほど常態化したグローバル化した時代の中で、過去の流通ビジネス体験が邪魔になることが多い。過去の流通ビジネス文化の体験をリセットボタンで取消し、新しい視点のもとに新しい流通ビジネスをスタートさせるべきである。グローバル化時代の流通ビジネス概念は、地球が一体化した状態のビジネス概念を言うが、視点を変えて表現すれば、地域のエリア内からの視点で世界を見ると、エリアの垣根が溶け出し、エリア型流通ビジネス文化が崩壊していることが理解できる。<社会科学研究部会を参照

流通-1-2<エリア型社会の流通ビジネス文化の特性>

 経済の未発達の時代は、狭い範囲のエリア型流通ビジネス文化であったが、この時代は流通経路が見えない時代であり、産地の生産者や流通経路が見えない時代であったから、消費者は販売店の信用がベースになる時代であった。一方、地域住民側も貧乏な時代でもあり、流通業界側も信用供与することも重要な役割であった。エリア型に時代の地域住民は、定住型住民であり、住民に対する信用供与が比較的容易であった。このように流通ビジネス全体が信用をベースにした時代であった。したがって、流通業界全体が暖簾(ノレン)を必死に守り、命より暖簾(信用)を大事にしたビジネス文化が出来上がったのである。

流通-1-3<エリア型社会で期待された商業中心点>

 エリア内の商業中心点である商店街は、魅力ある商業集団として住民から期待され、天下の銀座商店街を目標として金太郎飴のごとく同質・同型の商店街が出来上がったのである。全国に銀座名がついた多くの商店街は、地域住民にとって自慢の商店街であり、地域住民の期待に応え大成功を遂げたのである。また、当時は情報の不足時代であったから、商店街は世界の流行情報の窓口を果たし、情報発信源として重要な役割を果たしていた。商店街には何かがありそうな魅力のある街であり、何か駆り立てられウキウキする魅力ある場でもあった。更に新しい生活提案の場として、ウインドウショッピングで夢を描き、夢を具現してくれる重要なゾーンでもあった。しかし、情報化社会時代に入り情報経路にバイパスができ商業集団の機能が一部失われてきた。

流通-1-4<豊かな時代に出現した旅人型人間と商業文化>

 経済が高度成長期に入り豊かな消費者が出現し、消費者行動に大きな変化が現われ、まとめ買いや通販等により来街頻度が落ち、商店街から人が消えてしまった。豊かな消費者は更に流動的になり旅人型人間に変身してしまったのである。この旅人型人間はエリアレスの行動をとり、定住型固定客から流動型フリー客に変貌してしまったのである。旅人型人間は、新しい生活リズムを持っており、この新しいライフスタイルからくる商業えの期待が、従来型の商業とはかなりの違いがあり、新しい商業ビジネスのセンスや感覚が必要になってきた。

流通-1-5<情報化社会の旅人型人間の生活リズム>

 情報化社会の商業機能が新しい段階に突入したのである。情報不足時代の商業機能に情報提供が重要な役割を果たしてきたが、今日の情報化社会は、リアルタイムで世界の情報を提供してくれるし、商業ゾーンの情報提供については期待が小さくなってきたのである。今日の消費者の購買行動に、情報入手時に購買決定する行動もみられ、テレビ・新聞・雑誌・カタログ・インターネット等の情報で、購買決定する消費者行動が非常に増えている。情報化社会の消費者行動に対しての商業者の対応も変化が見られる。購買決定者に対する商業の対応は、取次ぎ業務に特化することであり、近くで・速く・安く・簡単に入手できる利便性の高い取次業務が必要になってきたのである。百貨店・量販店・コンビニエンスストア・カタログ販売・テレビショッピング・インターネット販売等取次業務の効率化が進んできた。

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