新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 1/26(水) 15:21:15
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1.コストコントローラという職種
市場経済の先進国においてはコストコントローラという概念の職種がある。コストコントロールという用語は、原価管理という意味であるから、日本における近い職種に置き換えれば、原価管理担当者と言うことになる。しかしコストコントローラという職種は、専門職としての仕事の範囲や地位や権限については、かなり相違点があり、実質的に役員格の地位に相当し大きな権限を与えられている。仕事の内容にしても日本のように単なる原価管理担当という意味ではなく、原価管理手法の検討や見直しを行い、高度な原価管理システムの開発やその仕組みを評価し、実践にまで結び付ける役割を果たす職種であり、その道のプロとしてスペシャリストである。そのため高度な原価計算や原価管理の知識ばかりでなく、当該業種についての高度な生産管理技術の知識もあり、経済学や経営学、経営管理の幅広い知識も要求される職種である。
2.コストコントローラ教育の必要性
わが国には前述のようなコストコントローラという職種はない。特に建設業界においてはその必要性がなかったといってよい。その理由は、高度成長時代から始まった工事量拡大時代には原価管理に力点を置く必要がなく、受注した一定量の工事を処理する能力が問われた時代であった。そのための簡便な原価管理の手法として実行予算制度が採用され、高度な原価管理の手法を使う必要がなかったのである。実行予算は工種別予算配分の道具であり、予算配分自体を原価管理の道具とした考え方であった。予算が決まると工種別に専門工事業を手配し、当該工事業者と外注契約によって予算配分が確定する。このような予算配分の考え方は、公共団体における予算会計の思想であり、予算という金銭が使途目的別に忠実に消化されているかを管理する手法となる。そのため実行予算はコスト縮減のための道具というより予算消化の道具として機能する。これからは本格的のコスト縮減になるための技術が要請されており、コストコントローラの養成が急務となってきた。
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