143.コストコントローラ制度の苦悩
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 2/10(木) 22:27:36  返信も含め全削除

1.本社管理か現場管理か
 他の産業界と比較してみると建設業の特色は現場の運営にある。現場の責任者の裁量権が非常に大きい特色を持っている。その理由は、本社管理部門から現場が離れていることや、細部にわたって本社管理部の統制下におくことが難しい環境にあるためである。そこで現場で発生する各種の行為を現場で処理するシステムが一般化しているのである。その権限委譲が大きいことから経営者の代理として、現場代理人という名称が用いられる。しかし、現場の原価管理を高度化するためには、かなり高度な原価管理の知識と経験を要する職種であり、現場代理人(技術者)に委ねることに無理がある。将来は時間をかけて現場代理人に本格的に本物の原価管理教育をする必要と考えられる。それが可能になればコストコントローラの役割を果たしてもらうことが出来るが、当面は本社管理部に席を置き、地位は役員クラスとして専門の知識と専門の管理手法の学習をさせてコストコントローラを養成する必要がある。

2.専門的知識の重要性
 コストコントローラを養成するためには、コスト発生のメカニズムから勉強することが必要である。何故ならコスト発生の要因もよく理解していない現場の技術者が、原価管理をすることができることはあり得ないからである。何回かにわたり繰り返し解説したが、すべての原価特性が材料費に類似したイメージを持つ技術者が多すぎるのである。材料費であれば安く買うこと以外にコストを下げる方法がないから、一般的に言われる「建材屋叩き」という安値脅迫型交渉システムが原価管理の手段となってしまうのである。確かにこれで材料費を下げることは可能であるが、これではあまりにも原始的コスト縮減手法である。この安値脅迫型交渉システムは、材料の購入ばかりでなく当然、専門工事業との下請契約時にも利用され「下請叩き」と呼ばれている。大手ゼネコンの中には物価版の金額に自社の掛率を乗じて外注予定価額としている業者が多く、この掛率を近年厳しくしているようであるが、この思想自体が安値脅迫型交渉システムである。

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