新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 3/21(月) 11:55:08
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1.実行予算制度の信者が邪魔をする
長い間続いた原価管理の道具として利用された実行予算制度は、長い時間をかけて多くの信者をつくり上げてしまった。そのため古い原価管理の道具を新しくすることができないのである。実行予算制度の信者は、原価管理は実行予算以外にできないと思い込んでいる。これでは実行予算制度から脱出することが出来ないし、新しい道具を使いこなすことは更に難しい。実際原価計算は金額による計算であるから、実行予算の金額管理が有効に作用しているように見えてしまう。この点が実行予算の落し穴であり注意しなければならない点である。あまりにも実行予算と実際原価計算の比較が容易であり、実行予算によって原価管理が出来るように見えてしまうのである。それほど実行予算と実際原価計算が馴染みやすいのである。そのため実行予算制度が原価管理の最高の道具であると勘違いしている経営者や現場代理人が多く、実行予算の信者のような様相となってしまった。
2.実行予算の陥りやすい落し穴
実行予算は、過去の実勢単価に施工数量を乗じて予測するが、この実勢単価自体に問題がある。単純な土木工事の例として説明すると、「100立方メートル土木施工が工期100日」とする。1立方メートルの基準単価が10,000円とすると、実行予算は「100立方メートル×基準単価10,000円=1,000,000円」となる。この計算手法は公的機関の発注者が予定価額を算定する方法である。発注者は全国の実態調査から基準単価を算定し、正確な実態数量を乗ずるのであるから、予定金額の算定としては正しく、今後もこの計算手法は変わることがない。しかし建設業者が実際に施工する段階では、天候等の異変や設計変更、住民運動等で工事が中断することが終始発生するため、100日の施工日数は簡単に変更され、1月や2月の延長は簡単に生じてしまう。今日のように重機や仮設材のレンタル化は一般化し、多くの原価は時間に比例して発生するのである。これを予算管理で管理することはできない。現場代理人は「現場は終わってみないと分らない」「掛かるものは掛かるんだ」と強く主張する。これでは管理できないことを主張しているのと同じである。
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