153.歩掛計算は予測原価の算定に馴染む
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/27(水) 11:43:08  返信も含め全削除

1.歩掛計算の信頼度
 工事量が正確に把握できれば、物価版や自社企業の歩掛単価によって実際原価の発生を予測することができる。物価版による単価は、実態調査による全国の実際平均単価であり、自社企業の歩掛単価にしても自社の過去に実際発生原価から算出した単価であり、いずれも信憑性の高い信頼のおけるものである。そのため実行予算の信者は歩掛計算の精度を高めることに大きな関心を示すのである。このような考え方や計算方法は決して間違っているわけではないが、原価管理の本来の目的は、原価発生の予測することが狙いではなく、コストダウンに導くための道具でなければならない。実行予算によって予測原価を精密に計算することと、コスト低減に誘導する方法は分けて考えなければならないのである。

2.原価予測の利用価値
 コストダウンをするための技術は、その考え方や行動によって具体的にコストを下げるための道具でなければならない。実行予算のように、発生する原価の予測の精度を高めたとしても、それ自体がコストダウンの道具にはならないのである。原価予測の精度を高めることによって利用価値が上がるのは経営者が利用するデータとしてである。これに対してコストダウンの道具として必要なのは経営者ではなく現場責任者なのである。

3.原価の特性とコストダウン
 工事原価は施工時間に対して時間固定費と時間比例費に分類される。時間固定費とは材料費のように施工時間が変動しても固定的で変化しない原価をいうのである。これに対して時間比例費である労務費や機械、仮設材等のレンタル料は、時間に比例して発生する。そのため工事原価で予測が難しい原価は時間比例費である。歩掛計算の精度を高めても、設計変更等の工事中断があると時間比例費は、敏感に大きく変化してしまうからである。したがって原価管理とは施工時間を管理することがポイントとなるのである。

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