新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 5/4(水) 19:37:17
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1.歩掛計算の落し穴を確認する
前回に述べたように歩掛計算の落し穴は人工計算(業界用語で「にんく計算」という)にある。1人の労務費を10,000円として、50人工の作業量を実行する場合、1人で施工すると50日間の作業日数を要するが、5人で施工すると10日間で作業が完了する。これで労務費を計算すれば下記のようになる。
1人施工の場合・・・10,000円×1人×50日=500,000円
5人施工の場合・・・10,000円×5人×10日=500,000円
上記のような人工計算をする場合は、人的資源数が変動しても労務費が同額になるため、業界ではあまり工期を気にしない風潮がある。しかし、建設工事の施工現場は、平行した作業が複雑に絡んでおり、ある工種が10日で施工されるか50日で施工されるかによっては、同時並行の他の作業に大きく影響し、工事全体のコストに大きな影響を与えるのである。単純な例で言えば、作業員による施工と並行して機械施工がある場合、機械の実稼動が20日間の場合として、作業員の施工日数が50日を要したとすれば、機械施工に多くの待ち時間が発生する。この施工が1社の直営工事であるとすれば、機械のレンタル料は30日間の待ち時間として、無駄なコストを費やしていることになる。更に仮設材等のレンタル料は、全体工期の長短で大きく変動するため、並行作業の不具合が常に常に大きな無駄としてコスト高に結びついてしまうのである。
2.複雑に発生する原価の恐ろしさ
建設現場における原価発生のメカニズムは、同時に数十種類、あるいは数百種類のコストが複雑に絡んで発生しており、簡単に素人の視点で判断することが出来ないものである。これらの原価を実行予算で管理することなど、もっての他である。建設業界の経営近代化が遅れているのは色々の理由があるが、これほど原価思想や原価計算の遅れている業界も珍しい。現場代理人が工程管理や品質管理、安全管理等の片手間に原価管理できるようなものではないことを留意すべきである。
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