155.実行予算は見積書と同じ思想
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 5/11(水) 16:58:31  返信も含め全削除

1.ドンブリ勘定が必要な理由
 建設業界は昔から見積計算というドンブリ勘定が使われていた。ドンブリ一杯分の大きさ(立方メートルや平方メートル等のドンブリの単位による計算)を単位として単価(基準単価等)を決定し、これに工事数量を乗じて見積額を計算する方法がとられてきた。客(施主)にしてみれば、ドンブリ一杯分の料金を示してくれなければ、相場や他社との比較ができないからである。ドンブリ一杯分の金額で示してくれると価格が高いのか安いか判断することができるのである。客は施工者の原価には関心がなく、生産者がいくらで売ってくれるかに関心がある。したがって見積原価計算(見積書)は、客を説得するための道具であるからドンブリ勘定で表示することが重要である。

2.原価管理までドンブリ勘定では
実行予算によるドンブリ勘定ではコストダウンの道具としては機能しない。実行予算は、見積計算と同様に計算手法の根底にドンブリ勘定の思想があるからで、原価の発生メカニズムに合わない部分が混在しているのである。原価の中には容量で発生するものばかりではない。時間で発生する原価の方が多いからである。したがってドンブリの容器で計算してはいけないのである。

3.ドンブリ計算から抜け出せない理由
 ドンブリ計算から抜け出して新しい原価管理の方法に切り替えることは、建設業界にとって非常に厄介なことである。その理由の第一は、長年にわたる業界の文化として完璧に定着しており、まったく実行予算の間違いに気がついていないこと。第二に、本物の原価管理手法が、業界にとって過去の原価思想や概念にない。前例がないと判断できないものである。そのため新しい原価計算や原価の思想を勉強してからでなければ気がつかないこと。第三に、原価計算の手法や思想について実際に大きな相違があるのに、その相違が軽微な差にしか見えないからである。

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