新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 5/25(水) 19:07:03
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1.明快に算定できるドンブリ勘定の見積書
前に述べたように施主と施工業者間の営業取引においては、1平方メートル等の基本的な単位の価格で営業取引をすることが比較検討を容易にする。したがって見積り合わせ等において比較検討する場合は、基準となる単位の価格で比較検討することが一般的である。これが市場経済の基本的な競争原理の作用であり、単価が市場価格に対して高いか安いかを判断する唯一の方法である。勿論、品質が一定であることを前提とした話であるが、品質が一定であれば単純に単価の価格競争になるのである。したがって、単価について施主との折り合いがつけば、工事数量を乗ずることによって単純明快に工事金額が確定する。このように施主と施工業者の間の取引は、このドンブリ一杯分の売買単価の比較検討が最も重要な問題であり、双方が納得するにはドンブリ勘定以外の計算方法は全くない。これほど明快な比較検討できる方法は他にないのである。
2.類似する実行予算のドンブリ勘定
営業取引におけるドンブリ勘定が、あまりにも明快に計算できるため、このドンブリ勘定の手法を予算管理に用いた制度が実行予算制度である。このドンブリ勘定の手法を用いるには、過去の原価資料を精査して社内単価を決め、これに施工数量を乗じて予算金額を算出する。見積書のドンブリ勘定と全く同じ方法で予算金額を算出するため、実行予算制度も明快に計算できるように見えるのである。ここが実行予算の落し穴であることを注意すべきである。予算計算の金額算定の精度を上げても、実際に発生する原価のメカニズムが違うため、原価管理の道具にはならないからである。まして市販されているソウトで、見積書と連動している実行予算書の作成ソフトがあるが、とんでもない間違いを犯している。確かに工種別に積算される見積書の形式と工種別実行予算の形式は類似している。そのため大きな落し穴に落ち込んでしまうのである。勘違いで出来上がったソフトが原価管理の道具になると思い込んでしまうのである。
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